研究実績の概要 |
本研究の目的は、原価企画のグローバル化・現地化に貢献できるIT組織への変革を促す業績評価システムのあり方について探求し、グローバル時代の原価企画活動のリファレンスモデルを提示することである。最終年度ということで、最終成果としてケーススタディを用いた研究成果をまとめることができた。その一つが「Target-costing Practice of Japanese manufacturers in Malaysia and their relationship to intangibles: A consideration of readiness for building human capital, information capital, organizational capital」である。日本語の論文としても「ASEANへ進出した日本メーカーにおける情報資本の構築と業績評価指標との関係性」という論文をまとめた。また、計画通り、国際会議での報告を行うこともできた。 これらの研究実績の意義は、グローバル時代の原価企画活動のリファレンスモデルを提示したことにある。第1に、現地化のコンテクストについては、系列サプライヤーとOEMサプライヤーにおける現地化の差異を明らかにすることができた。第2に、コストテーブルの管理については、マレーシア進出メーカーにおいてコスト管理の高度化が進んでいないことを発見できた。第3に、情報資本については、現地における見積原価の精度を上げ、原価企画を成功させるためには、情報資本の蓄積がカギとなることを明らかにできた。最終的に、ASEAN進出メーカーにおけるIT部門に対する業績評価指標のあり方を明らかにできた。結論として、原価見積もりの精緻化を支援するIT部門に対する業績評価指標として,情報資本レディネスの採用が期待できる。
|