研究課題/領域番号 |
16K04013
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
川村 義則 早稲田大学, 商学学術院(会計研究科), 教授 (60247244)
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研究分担者 |
山内 暁 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (10386542)
大塚 宗春 早稲田大学, 商学学術院, 名誉教授 (60063749)
福島 隆 明星大学, 経営学部, 准教授 (80339671)
金子 良太 國學院大學, 経済学部, 教授 (80350411)
若林 利明 早稲田大学, 商学学術院, 助教 (80705666)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 発生主義会計 / 少子高齢化 / 持続可能性報告 / 世代間会計 / 地方公会計 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、基礎的側面と臨床的側面の双方向から、第1に、公的サービスを提供する主体の持続可能性を評価するために公会計情報をどのように作成、開示し活用していくかを検討することである。第2に、少子・高齢化への対策としてとられる個別の政策や社会資本(インフラ)投資の持続可能性を評価する会計情報の検討および会計情報が政策や社会資本投資の決定メカニズムに及ぼす影響を分析することである。 背景として、これまで、わが国では少子・高齢化社会の進展に備えた公会計制度改革が進められてきたが、情報が十分に活用されていない状況にあることが挙げられる。特に、少子・高齢化社会においては、公的サービスの持続可能性を評価するしくみづくりが課題となっている。 本年度は2つの目的のうち、特に第1の目的を達成するために研究を行った。より具体的に(1)世代間会計(generational accounting)の計算構造理論の構築に向けて、英国等の諸外国における持続可能性報告書の分析、(2)発生主義会計情報の活用方法の研究および(3)公的機関の財政状況を分析する際に有用な発生主義に基づいた各種の指標(KPI)等の開発のために、地方公会計統一基準に基づいて公表された財務諸表を分析した。関連して、現在話題になっているふるさと納税の制度について、地方公会計の観点からその成果と課題について検討を開始している。 本研究に関連して、毎月定例の研究会を開催し成果報告および議論を行った。また、研究分担者がニュージーランドに訪問調査を行い、国際比較研究に向けた知見を集めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、初年度ながら4本の論文と4回の学会報告を行った。日程の都合上、十分なインタビュー調査を行うことができなかったため理論研究および公表情報の分析に重点をおいた。次年度は、これをベースにインタビュー調査を行うことができる。
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今後の研究の推進方策 |
平成 29 年度は、各論としての位置づけの強い第2の目的を中心に取り組む。また、少子・高齢化が進んでいる地方公共団体へのインタビュー調査を行う。得られた知見をフレームワークとして規範的な議論を展開したり、数理モデルに組み込みながら研究を行っていく。ただし、地方公会計の統一基準は、平成 29 年度までに漸次的にすべての地方自治体が採用することになるため、また、公会計情報の開示実態の調査も継続的に行っていく。そして会計処理や活用事例の国際比較のために、海外での訪問調査も予定している。得られた成果は、国際公会計学会やヨーロッパ会計学会で報告し、国内外の専門誌や学会誌に投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、理論研究および公表情報の分析に重点をおいていたことと、次年度に国際学会で報告する予定があったため、基金化していたことが主な理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度の審査の結果、来年度にヨーロッパ会計学会および米国会計学会において報告することが決定したため旅費として使用する。
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