2016 年度実施状況報告書

IFRS導入が企業の業績評価に与える影響に関する理論的・実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号	16K04016
研究機関	椙山女学園大学
研究代表者	星野優太椙山女学園大学, 現代マネジメント学部, 教授 (80165547)
研究期間 (年度)	2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード	ＩＦＲＳ / 管理会計 / 戦略目標 / 財務指標 / 非財務指標 / 日本の製造業 / 製薬企業
研究実績の概要	本研究の目的は、国際財務報告基準（ＩＦＲＳ）を採用した場合に日本企業の業績評価にどのような影響を及ぼすのかについて研究することである。特に、ここではＩＦＲＳの導入が日本企業の予算管理システム、設備投資の評価法、財務指標および非財務指標の重視度、事業部の業績評価など、いわゆる業績測定システムに与える影響について理論的かつ実証的に研究しようとするものである。本研究は、(1) 日本企業がＩＦＲＳの導入により管理会計システムがどのような変化をするのかを理論的に究明すること、(2) ＩＦＲＳの導入が業績評価システムに与える影響について実証的に検証すること、を主たる研究計画としている。そのため、まず(1)文献によるサーベイと理論構築を行う、(2)日本企業の業績測定システムについて、財務資料を基にデータ・ベースを構築し、それを基に統計処理をする、(3)特徴的な事例については個別にインタビュー調査をしてケース・スタディとしてまとめる、(4)最後に、財務データ及び定性データを基に実証研究を行い、それを国内外の学会で発表する、がその主な研究方法となる。研究実績としては、 Effect of IFRS Adoption on Corporate Performance Measurement: Analysis of Japanese Manufacturing Companiesを執筆し「Melco Management Accounting Research Discussion Paper Series MDP2016-005」に掲載した。一方、ＩＦＲＳの企業への具体的な影響については、「製薬企業８社のＩＦＲＳ任意適用による主要財務比較」と題する和文論文の草稿を「椙山女学園大学・研究レポート」として執筆している。
現在までの達成度 (区分)	現在までの達成度 (区分) 2: おおむね順調に進展している理由今までのところ、「おおむね順調に進展している」と判断している。その理由としては、受理された論文はまだないが、研究の準備的作業となる Discussion Paper および研究レポートは執筆しているからである。本研究では、(1) 日本企業がＩＦＲＳの導入により管理会計システムがどのような変化をするのかを理論的に究明すること、(2) ＩＦＲＳの導入が業績評価システムに与える影響について実証的に検証すること、を主たる研究実施計画としている。その研究プロセスとして具体的には、上記「研究実績の概要」にも記載したとおり、(1)から(4)までであるが、本年度平成28年度は、文献によるサーベイと理論構築を行い、財務データの構築とそれを基に統計処理をするよう準備をしており、そのパイロットテストを実施し、予備的考察を行っている。
今後の研究の推進方策	今後の研究としては、まず、英文論文の Effect of IFRS Adoption on Corporate Performance Measurement: Analysis of Japanese Manufacturing Companies を海外の学会もしくは海外のセミナーに投稿し、報告したい。一方、「製薬企業８社のＩＦＲＳ任意適用による主要財務比較」については、国内の製薬企業の比較だけでなく、海外との比較研究を行うために、日本の製薬企業とドイツの製薬企業と比較をして、さらにこの研究を完成させたいと考えている。また、これに関連して、日本企業及びドイツ企業へのインタビュー、そしてドイツの研究者と情報交換したり共同研究を行うための研究をさらに推進していきたい。
次年度使用額が生じた理由	当該2016年10月24日－25日に開催予定の、すなわち10th NEW ZEALAND MANAGEMENT ACCOUNTING SYMPOSIUM において発表をするべく、Effect of IFRS Adoption on Corporate Performance Measurement: Analysis of Japanese Manufacturing Companiesの論文を投稿し採択されたが、あいにくその直前に怪我をしたため、出席・発表することができなかった。したがって、次年度に再度、その論文を推敲し投稿して発表を予定したいと考えている。
次年度使用額の使用計画	上記の使用理由に記した11th NEW ZEALAND MANAGEMENT ACCOUNTING SYMPOSIUM で発表するという件と、本年度に使用を計画している研究テーマにかかわる「製薬企業のIFRS任意適用による財務分析比較」について、インタビュー調査等を行うことを予定している。