研究課題/領域番号 |
16K04017
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
東田 明 名城大学, 経営学部, 教授 (50434866)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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キーワード | 環境管理会計 / サステナビリティ・コントロール・システム / マネジメント・コントロール・システム / 環境経営戦略 |
研究実績の概要 |
研究期間の第1年度である平成28年度は,環境経営推進のための意思決定手法と業績評価の連携を研究するための研究課題の精緻化を行うことを目的に,環境もしくはサステナビリティを経営戦略に統合しようとする企業のマネジメント・コントロール・システムを対象とした研究をレビューした。この分野は,Gond et al. (2012)を契機に研究が盛んになっているが,既存のマネジメント・コントロール・システムとサステナビリティ・コントロール・システムの統合の形は多様であることがわかる。また,戦略において環境やサステナビリティが統合されるプロセスで,インタラクティブ・コントロールが注目されている。特に,ステイクホルダーとのインタラクションを通じて,彼らの意見を戦略に反映させ,それに基づいて業績評価指標を構築したり,ステイクホルダーとのインタラクションにおいてサステナビリティ報告書を利用するなど,ステイクホルダーとのインタラクションがこの領域の大きな特徴である。また部門間の水平的インタラクションについて言及する研究も多く存在するが,トップマネジャーによる垂直的なインタラクションはあまり考察対象となっていないようである。 しかしながら,環境やサステナビリティに取り組む実践においては戦略におけるサステナビリティの統合,あるいはそれを推進するための既存のマネジメント・コントロール・システムとサステナビリティ・コントロール・システムの統合は容易ではない。そこには短期志向と長期思考など様々な緊張関係やトレードオフが指摘されており,こうした課題を企業がどのように認識しているか,また解決しようとしているかを考察することも重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
主要先行研究のレビューを行うことができ,研究課題がより明確になってきたので最低限のことはできた。しかし,パイロット調査を含めて企業へのインタビューを進めることができなかったので,平成29年度はこの点に注力していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
今後の主な調査内容は次の3点である。(1)戦略に環境問題を統合しているか,またそのプロセスを明らかにすること,(2)環境経営戦略に応じてどのような業績指標を設定しているか,結果指標だけでなく,行動やプロセスを評価する指標にも注目する,(3)戦略実現のプロセスでどのような緊張関係が認識され,マネジメント・コントロール・システムを通じてその課題に取り組んでいるか。 これらの課題について平成29年度は企業へのインタビュー調査を進める。また,今後の質問票調査のためのパイロット調査も29年度の後半には行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
補助金の採択通知を10月に受けたことと,企業に対するインタビュー調査を行うことができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額については,企業に対するインタビュー調査数を予定より増やすこと,および海外での学会報告と英語での論文執筆のための英文校正のための費用として使用する。
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