研究実績の概要 |
マネジメント・コントロールの行使において異なる目的の追求を促す上で生じるテンションのマネジメントについて検討を行ってきた。今年度は,出来る限り成果を出せるよう努めてきた。 まず,日本原価計算研究学会「管理会計研究におけるNK適合度地形モデルの可能性:LOCのコンフィギュレーションの探索」のテーマにて学会報告を行った。そこでは,Simons(1995)のモデル(LOC, Levers of Control)に依拠し,マネジャーが複数の異なるコントロール・レバーを組み合わせて使う際,それらの間の適合度の高いのコンフィギュレーションを探索する過程について,先行研究の知見及びシミュレーションの結果を提示できた。トップがコントロール・レバーを操作する際に依拠する基本方針が,コンフィギュレーションの適合度や均衡に至る過程に影響を及ぼしていた。これらの内容を取りまとめ,学会誌に投稿し掲載受理され近刊となっている(3月末現在)。
もう一つは,学会誌(『管理会計学』)への投稿であった。趣旨は,業績評価指標の特性であるインフォーマティブネスと管理可能性が従業員の努力配分に関する均衡点と均衡到達経路に及ぼす影響を解明することであった。業績評価の設計特性に対して,従業員の反応についてはマネジメント・コントロール研究においても重要な問題である。インフォーマティブネスと管理可能性とが満たされているか否かによって類型化された4つのパターン間で,従業員の努力配分の均衡点やその均衡到達経路に違いが生じること,さらにそれらに評価の頻度が関わっていることが明らかにできた。これらを取りまとめ,学会誌へ投稿し掲載受理され刊行された(3月末)。特に,マネジャーと従業員との業績評価における相互作用の効果については,業績評価システムの運用(マネジメント・コントロール)におけるテンションの統制にも係る内容でった。
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