研究課題/領域番号 |
16K04022
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
阪 智香 関西学院大学, 商学部, 教授 (10309403)
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研究分担者 |
地道 正行 関西学院大学, 商学部, 教授 (60243200)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ビジュアライゼーション / 再生可能研究 / グラフィカル・データ・アナリシス |
研究実績の概要 |
約30年間の世界140カ国の会計データについて、様々なビジュアライゼーション技法を用いて、グラフィカル・データ・アナリシスを実施し、企業の富とその偏在等に関する格差の証拠を提示した。その上で、当該データのモデリングとフィッティングを行うために、会計データ分布の特殊性を考慮して修正した分析手法について検討を行った。 また、プログラミング言語と文書整形システムを協調させることによって動的に文書を生成すること(動的文書:dynamic documentation)は、再生可能研究(reproducible research)を実現するための機能として、その重要性が認識されている。そこで、現在のデータ解析環境 R で利用される動的文書を生成するための環境である Sweave と knitr について、各種のオペレーティングシステムのもとでの環境設定法と利用法を検討し、財務データと経済指標データの解析への応用を行った。 さらに、線形回帰モデルにおける説明変数間に多重共線性が存在するときには、最小自乗推定量を用いた回帰係数の推定に関して、精度の低下に伴って様々な問題が生ずることが以前より指摘されている。そこで、この問題に対して、縮小回帰推定量を用いた推定精度の改良の検討を行った。具体的には、縮小回帰推定量として通常リッジ回帰推定量、一般化リッジ回帰推定量、主成分回帰推定量、r-kクラス推定量を取り上げ、それらの総平均自乗誤差を求めることによって、これらの推定量の改良の程度を計算し、さらにそれらの実行可能性を検討した。結果として、(実行可能型) 縮小回帰推定量が、多重共線性のもとで適切に利用されるならば、最小自乗推定量よりもより「有効」となる可能性を持つことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で扱うデータの特徴は、経時観測データ(パネルデータ)とよばれるもので、複数の個体(上場企業)に対する属性を決算年月日に観測したものであり、その構造から時間・空間の両面から調査する必要がある。このため、データの時間的な変化を見るための時系列解析や、財務ビッグデータの空間的な分析を見るためのクロスセクションデータの多変量解析を設計するにあたっては、時系列プロット・対散布図・モーションチャートなどを用いてデータの分布を可視化することにより、財務データの統計モデリングに必要な知見を得ることが必要であり、2016年度はこれらに取り組むことができた。今後は、2016年度に実施した可視化の成果を基にして、様々な観点からの可視化作業を発展させるとともに、モデリング研究を継続することができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度に着手した、約30年間の世界140カ国の会計データを用いたグラフィカル・データ・アナリシスと分析手法の検討結果を基に、会計データ分布の特殊性を考慮して修正した分析手法について、さらに対数非対称正規線形モデルや一般化双曲型回帰モデル等を取り上げて検討する。その上で、企業間の格差等の実態と課題を、会計データを用いて説明し、回帰モデルを構築した後、データへのフィッティングを確認し、モデル改善へとフィードバックする作業を実施する予定である。 また、多変量データの可視化の手法として最近開発されたmatrix visualization plotなどを利用することによって、日本を含む全世界の上場企業の財務指標の構造を浮き彫りにする。この研究を通じて、探索的データ解析の視点から、課題解決を目的として、財務ビッグデータを用いて高精度に予測するモデリングを実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者は2016年度に、アメリカ・カリフォルニア州のUniversity of California, Irvine (UCI) に8ヶ月滞在し、当科研研究の協力者でもあるJoanna Ho教授と一緒に研究を進める予定であったが、Ho教授がこの期間の多くを海外で滞在されたために、共同研究を予定したようには進めることができなかったため、研究費に残額が生じることとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
2017年度には、当研究に対して、ビッグデータ解析環境構築、および、パネルデータ・時系列データ解析の理論構築のそれぞれについて、アドバイス等をいただける研究者の協力を得ることできることとなった。そのため、その研究会合のための会合費・旅費、および、それらの研究結果に基づき研究成果を国際会議で発表するための旅費等に使用する予定である。
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