研究課題/領域番号 |
16K04023
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
飛田 努 福岡大学, 商学部, 准教授 (60435154)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 中小企業 / 管理会計 / マネジメント・コントロール・システム |
研究実績の概要 |
今年度は論文1編,学会報告4回を行った。また,学会報告4回のうち3回の内容は論文として執筆し,2019年度に別途合わせて論文・書籍として5編発表される予定である。これとは別に中小企業におけるマネジメント・コントロール・システムの現状を明らかにするため,企業に対するインタビュー調査とサーベイ調査を実施している。インタビュー調査の内容については学会報告と論文として執筆し,サーベイ調査の結果については現在分析を行い,2019年度中に論文として投稿する予定にしている。 具体的には,(1)創業者からの事業承継を契機として現経営者が管理会計システムを整備し、予算制度や原価管理への取り組みを形式化するのみならず、目標管理制度と併用することによって管理者や従業員が管理会計システムを受容するようになった事例,(2)海外に進出する中小製造業における管理会計システムとして、文化や取引慣行によって生じるテンション(緊張関係)・マネジメントと組織内部のコンテキストに注目して経営の現地化と管理会計システムの適合がいかに行われているのかについての事例,(3)農機具としてはユニークな製品名(ネーミング)、顧客へのインタビュー調査を反映させた高機能とデザインで国内のみならず、海外において大きく売上を伸ばしている中小製造業がいかにマーケティング戦略と原価管理(原価企画)を有効に活用し、ニッチな市場で世界シェアを伸ばしているのかに関する調査としてまとめている。 これにより概ね中小企業におけるマネジメント・コントロール・システムのあり様を掴むことができたと考えているが,さらなる調査を行い,研究結果の頑健性を高めるようにしていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度中に論文等の業績として残すことはできなかったが,当初に予定していた学会報告や論文投稿数を上回ることができ,2019年度以降に業績として残すことができる見込みがあると考える。まだ,サーベイ調査の結果,他企業への調査を予定しており,これまでの研究成果をより深化させることができると考える。そうした礎を築くことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は当初の研究計画通り,インタビュー調査とサーベイ調査を継続して行う。特にサーベイ調査はインタビュー調査で定性的に示された内容を定量的に明らかにすることを目的としており,定性的な調査結果の確からしさを高めるものになると考える。同一調査を複数企業に行うことで企業ごとの特徴を捉えることにもつながり,双方の研究手法の長所を取り入れることができるものと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は当該研究費の他に1つの科学研究費,1つの学内競争研究資金を獲得しており,研究費として付与されている学会出張旅費等を組み合わせて使用した。講義は週4日,土日は企業訪問調査は難しいため,当該研究費に余裕があり,次年度使用額が発生した。 次年度は引き続き岡山,東京の調査対象企業があるため,調査を実施するための旅費として使用することを検討している。
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