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2017 年度 実施状況報告書

現代日本の若年者における下降移動の構造と過程

研究課題

研究課題/領域番号 16K04029
研究機関東京大学

研究代表者

三輪 哲  東京大学, 社会科学研究所, 教授 (20401268)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード社会移動 / 下降移動 / 中途退学 / 離婚 / 離職
研究実績の概要

独自調査の質問項目を検討するために、既存データの二次分析を引き続き行うことで、課題を洗い出すなかで、いくつかの知見が見出された。
下降移動を、教育(学校経歴)・職業など、ライフコースを通したさまざまな局面におけるライフイベントを結びつけながら総合的に考察するのが、本研究のねらいである。
それらのうち平成29年度では、教育にかかわる下降移動として中途退学をとりあげ、既存の大規模社会調査マージデータの分析をおこなった。とりわけ、社会関係資本の役割を焦点として、幼少期ないし生育期の社会関係資本の欠如が、中途退学率を高める影響がみられることが明らかにされた。
また、職業的キャリアにかんしては、職業経歴データの詳細な解析により、地位達成過程へとせまった。その特徴は、下降移動が連鎖することで、全体的な不平等が増大するか否かを検証するところにある。結果としては、女性において人生の後半期になってから(累積的な)地位の不平等が大きくなったこと、男性ではそのような傾向はないが後半期のほうが(累積的な)地位と初職時の地位との相関が高まることが見出された。また、戦前に学校を終えたコーホートでも、近年に終えたコーホートでも、傾向には特に変わりはなかった。地位達成過程のメカニズムそのものも、概ね、従来の結果と明瞭な違いはみられず、安定的とみてよい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

やや遅れていると進捗を評価した理由は、平成29年度に予定していた実査を次年度にまわしたことにある。理論的枠組みと射程を再検討したゆえに、調査票にのせるための質問項目への操作化を見直したことがその主因である。研究の進度から言えば前向きではあるものの当初予定よりも遅れていることではあるので、冒頭の評価とした。

今後の研究の推進方策

本年度は、いちはやく実査を実施し、独自調査データの解析をおこなうのが中心となる。
調査票は既に完成しているので、7月にデータ納品がなされるよう、調査を進行する。
その間にも、既存の公開データ(東大社研SSJDAや、立教大学RUDAよりアクセス可能)を用いた二次分析をおこない、下降移動にまつわる計量的な実証分析を積み重ねる。
成果は、平成30年度の日本社会学会、日本教育社会学会、数理社会学会などで報告をおこなう予定である。
また、最後のとりまとめとして、電子版の論文集を刊行する。

次年度使用額が生じた理由

既存データの二次分析の結果、質問項目の見直しが生じ、調査計画が予定通り進まなかった。そのために、実査を、平成30年度へと繰り下げたため。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 社会データ分析の新時代:公的統計データの社会学研究への利活用2017

    • 著者名/発表者名
      伊藤伸介・石田賢示・藤原翔・三輪哲
    • 雑誌名

      理論と方法

      巻: 32(2) ページ: 321-336

    • DOI

      https://doi.org/10.11218/ojjams.32.321

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 21世紀初頭における世代間階層移動の日中比較2017

    • 著者名/発表者名
      王昊テイ・三輪哲
    • 学会等名
      第64回東北社会学会大会
  • [学会発表] The Effect of Social Capital on Japanese Higher Education Dropout2017

    • 著者名/発表者名
      Minami Shimosegawa and Satoshi Miwa
    • 学会等名
      International Convention of Asia Scholars 10
    • 国際学会
  • [学会発表] 現代日本の不平等の進展と地位達成過程2017

    • 著者名/発表者名
      三輪哲
    • 学会等名
      第90回日本社会学会大会

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公開日: 2018-12-17  

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