研究課題/領域番号 |
16K04030
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
小林 大祐 金沢大学, 人間科学系, 准教授 (40374871)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 調査員変動 / 調査モード / 社会的望ましさバイアス / 社会調査法 |
研究実績の概要 |
平成28年度上半期は、文献研究に充てられ調査モードや調査員変動についての先行研究を渉猟した。Groves et al.(2009)やWeisberg(2005)といったtotal survey error approach の立場の基本文献、および"Public Opinion Quarterly"や"Journal of Survey Statistics and Methodology"誌のような専門誌で最新の研究動向についての整理を行った。このような研究の成果は、第67回関西社会学会大会において、歸山亜紀氏、轟亮氏との共同報告「変数間関連の比較に基づく公募モニター方式のインターネット調査データの評価」として報告された。 下半期は、引き続き調査法関連の先行研究について文献研究を行うとともに、分析において用いるマルチレベル分析に関連する文献についても収集し、その最新の技法について理解を深めた。このような研究の成果として、太郎丸博編の『後期近代と価値意識の変容:日本人の意識1973-2008』(東京大学出版会)に「生活満足感に対する加齢効果・コーホート効果・時代効果」、轟・杉野編の『入門・社会調査法:2ステップで基礎から学ぶ(第3版)』に「実査の方法:どのようなデータ収集法を選べば良いのか?」、「データの基礎的集計:たくさんの情報を要約する」をそれぞれ分担執筆した。また、第69回日本社会学会大会において、調査モード(CAPI、CASI、PAPI)を無作為に割り付けた実験的な調査データを用いた単独報告「調査票調査における「社会的望ましさ」バイアスの検証──実験的デザインにもとづくモード比較調査データによる分析──」を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【研究実績の概要】欄に記述の通り、当初予定していた先行研究および関連研究についての文献研究は順調に進んでおり、研究成果についても学術図書の分担執筆や学会報告など、予想以上のペースで進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度より、調査員属性にネストした大規模社会調査データを用いた調査員変動の分析が本格的に開始される。現時点では利用できるデータセットは1種類であるが、今後別のデータセットも整備して、多角的に分析を進めていきたいと思っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
28年度予算には、大規模なデータを統計的に処理するためのコンピューター購入費用が計上されていたが、現在使用しているコンピューターの性能で、当面問題が無いことが明らかになったため。その分の未使用が生じた。 また、収集された資料の整理に学生アルバイトを使うための謝金が計上されていたが、ファイリングなどの作業に昨年度中は取りかかることが出来なかったため、この分についても未使用が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、本格的なデータ分析作業にとりかかる。このために適切な分析環境を速やかに準備し、必要であればコンピューターの更新を行いたいと考えている。また、収集資料のファイリング作業についても着手したい。
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