| 研究課題/領域番号 |
16K04033
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| 研究機関 | 広島大学 |
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研究代表者 |
江頭 大蔵 広島大学, 社会科学研究科, 教授 (90193987)
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| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| キーワード | デュルケーム / 自殺理論 / 過労自殺 |
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| 研究実績の概要 |
デュルケームの自殺類型論の理論的検討については，Ａ．ギデンズの自殺研究と彼のデュルケーム解釈以後その発想が社会学理論の展開から抜け落ちてきたと思われる「社会の非個人性（非人格性）」もしくは「個人と社会の対立」というデュルケームの発想に着目し，その観点が『自殺論』執筆の前後において着想され，社会学のディシプリン化と自殺理論の構成に深く関わっていることを確認した。この論点については，国際シンポジウム（「古典から現代へ―社会学のディシプリン再生はいかにして可能か―」2017年9月21日・キャンパスプラザ京都）において報告し，「個人と社会の異質性とディシプリンの変容」（『広島法学』41(3): 256-74，2018年1月）として刊行した。
年齢調整自殺率の地域分布および各種社会経済指標の作成と分析については，都道府県別男女の年齢調整自殺率と労働時間，所得，失業率等の経済指標との間に複雑な相互関係が存在することを確認し，男性と女性では自殺に至る経済指標のパスモデルに対照的な相異があるあると予想しているが，データと整合的なモデルの構築には至っていない。
過労自殺の事例分析と理論的検討については，過労死・過労自殺の労災認定に関する行政訴訟・民事訴訟の資料の分析により，産業分野の特徴により自殺行動までの背景や経緯が異なることを確認し，また共通の要因としてかつての日本的経営の特色であった現場主義が，経営陣の「現場まかせ」に変質し，過重労働の背景をなしているのではないかという着想を得た。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「自然災害被災地における社会状況と自殺状況についての分析」については，資料収集および実態調査のためのフィールドワークを計画していたが，平成２９年度から校務が多忙となり出張の機会が制限されたため，その研究計画を一部変更して次年度以降に繰り延べた。また，「年齢調整自殺率の地域分布および各種経済指標の作成と分析」については，各種指標の相互関係が予想以上に複雑であったため，統計モデルの作成が遅れている。
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| 今後の研究の推進方策 |
進捗状況が遅れている研究計画については，次のように対応する。「年齢調整自殺率の地域分布および各種経済指標の作成と分析」については，自殺率を従属変数としたパスモデルについて，新しい変数を導入するなど試みてデータと整合的な統計モデルを構成する。「自然災害被災地における社会状況と自殺状況についての分析」については，調査地域を絞り込み，そこを重点的に検討することとする。
以上の方策により，最終年度の平成３０年度までに，統計モデル，過労自殺の事例，自然災害の影響の各側面を，再構成された自殺理論とリンクする。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
(理由)「自然災害被災地における社会状況と自殺状況についての分析」については，資料収集および実態調査のためのフィールドワークを計画していたが，平成２９年度から校務が多忙となり出張の機会が制限されたため，その研究計画を一部変更して次年度以降に繰り延べた。
(使用計画)出張旅費についての執行が滞っており，「自然災害被災地における社会状況と自殺状況についての分析」については調査地域を絞り込み，従来計画にはなかった平成３０年度に調査を実行することとする。
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