研究課題/領域番号 |
16K04036
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研究機関 | 福山市立大学 |
研究代表者 |
前山 総一郎 福山市立大学, 都市経営学部, 教授 (80229327)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 都市内分権 / ネイバーフッドカウンシル / シアトル市 / タコマ市 / まちづくり協議会 / エリアマネジメント / コミュニティ / ポートランド市 |
研究実績の概要 |
昨年度実施した制度設計調査、都市内分権編成調査のベーシックな調査のうえに、本年度は各都市のネイバーフッドカウンシルの社会的位相を確認することを調査にて進めた。昨年度の調査結果にあって、制度設計および都市内分権編成の各点からみて米国各都市のネイバーフッドカウンシルがおこなう地域サービス供給へのコミットが日本の都市内分権組織(まちづくり協議会)のそれよりも弱いことが確認された。 今年度はさらに、そのうえで研究計画に従って、シアトル市の担当職員(コーディネーター職員)、タコマ市の担当職員およびネイバーフッドカウンシルの市民役員(New Tacoma Neighbrohood Council)へのヒアリング、バーミンガム市の担当職員およびネイバーフッドカウンシル(同地ではネイバーフッドアソシエーション」の呼称)役員へのヒアリングをおこなった。 その結果、米国の都市状況において、「参加」の容態が異なること(市民公益的な発想からの「参加」(シアトル市、タコマ市)、公民権運動の基盤での「参加」の違い(バーミンガム市))、またさらに、その社会的機能と社会的位置づけがことなっていることが見えてきている。「参加」(involvement)の社会的基盤(脈絡)という点については、米国の研究者、日本の研究者においてもまだ明確な論点とされてこなかった点と考えている。この点は、「ネイバーフッドカウンシル」というものの社会的存在の意味を問うこと、都市社会・都市ガバナンスを織りなす構成のなかで、どのような存在と機能として存立しているのか、という問題に資すると考えている。 今年度の調査研究の成果は、全米コミュニティ協会(NUSA)第42回大会(ネブラスカ州オマハ市)において研究報告をおこない、さらに論文刊行1本としてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に従って、都市(シアトル市(ワシントン州)、タコマ市(同州)、バーミンガム市(アラバマ州)への現地ヒアリング調査を実施し、その研究結果としての研究報告1本、論文刊行1本を実施した。以上から、研究計画に従って概ね研究課題につき順調な形で研究計画の実施をおこなってきている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の計画が概ね予定の研究計画にそって進展したことに基づいて、平成30年度、当初申請した計画に沿って実施している。 具体的には、諸都市のネイバーフッドカウンシルにあっての、地域サービス供給へのコミット、「参加」等の社会的基盤を含めての、社会的機能の実際の姿についての類型化の試みないしその基礎的整備に進みたいと考えている。最終年度にあたって、本研究計画の成果につき、国際学会においての報告を予定している。 さらに多くの調査を実施したい本研究のベースからすると、現地に赴いて実施する調査事業および報告実施にやや苦しいところであるが、頂戴した経費を工夫しながら有効に使用したい。
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