研究課題/領域番号 |
16K04052
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
貞包 英之 立教大学, 社会学部, 准教授 (20509666)
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研究分担者 |
阿部 勘一 成城大学, 経済学部, 教授 (30337696)
小澤 考人 東海大学, 観光学部, 准教授 (50631800)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 地方都市 / モビリティ / 人口移動 / 消費社会化 / 地域イベント / アートフェスティバル / 観光 |
研究実績の概要 |
第一に、昨年度までに集めた山形県のモビリティについてのデータ分析を行い、①既存のデータから確認される長期・長距離の移動の減退が近隣市や東京への買い物や出張といった短期的な移動の活発化によって補われている可能性を確認するとともに、②短期的なモビリティがとくに世帯所得によって左右されている(高所得者は東京への移動が、低所得者では近隣モールへの移動が多いというように)こと、さらに③将来の移動希望も同様に世帯年収によって影響されていることをあきらかにした。 このことは、近年、地域を出るような長距離長期間の移動を補うように地域のモビリティが活発化していることと、しかしそれが複雑に格差化されていることを含意する。こうした仮説を確認するために、第二に、福島・宮城・青森・秋田の東北諸県のモビリティに関するデータを収集した。その精密な分析は次年度の作業だが、大まかな結果としてはばらつきをみせながらも、山形県同様の活発な移動が地域内で行われていることが確認された。 加えて、そうした問題をより地域の現場に即して考える視点を確保するために、今年度は近年しばしば行われている地域イベントとしての芸術祭をフィールドワークの対象として取り上げた。ゼロダテを中心にアートイベントを継続的に実行してきた秋田県大館市、北アルプス国際芸術祭を開いた長野県信濃大町市を現地調査し、関係者に話を聞くなどして芸術祭が地域の観光やブランドイメージの変化などにいかにかかわっているかについてのデータ収集に努めたのである。 こうしたマクロ・ミクロのデータを分析することで、2018年度には、地域におけるモビリティが具体的にいかなる形で展開しているかをあきらかにしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モビリティについてのデータを、山形県に加え、東北諸県で集めることができたことにおいては、研究は順調に進んでいる。 ただしそれらを対照する分析がまだ十分に行われていないこと、またさらにより地域を限ったミクロなデータを集める必要があるという意味で、最終年度には着実な研究遂行が必要とされる。
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今後の研究の推進方策 |
研究の最終年度となる2018年度は、これまで集めたデータを分析し、東北のモビリティについての具体的な見取り図を作り出すことが、まず第一の目標となる。 それを補うために、山形市を対象としたよりミクロなインタビューやアンケート調査を計画している。 最後にそれらをまとめた報告書を公刊し、研究成果を世に問うことが、研究の最終目標になる
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に、山形市を対象としたより精密なデータ収集を行うための資金を確保した。2018年度の予算と合わせ山形市への出張旅費やデータ分析の委託費などに使用する予定である。
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