本研究は、非営利セクターが公共用地の管理運営に参加する条件を解明し、日本型市民社会の成立条件を明らかにすることにある。研究計画の最終年度である令和元年度は、その質問紙調査のデータに対する統計分析を実施した。 分析では、仮説を9つ立てた。仮説1は、自治体が効率化志向であるほど、他団体に維持管理を委託しやすい、である。仮説2は、自治体が行政自らに維持管理能力があると考えるほど、他団体に維持管理を委託しにくい、である。仮説3は、自治体が他団体に維持管理能力があると考えるほど、他団体に維持管理を委託しやすい、である。仮説4は、行政が他団体を支援する能力があると考える自治体ほど、他団体に維持管理を委託しやすい、である。仮説5は、自治体が他団体を支援する条例等を制定するほど、他団体に維持管理を委託しやすい、である。仮説6は、自治体が自治基本条例を策定するほど、他団体が維持管理を担いやすい、である。仮説7は、他団体を支援する能力があると考える自治体ほど、自治体が他団体に対して維持管理能力があると考えることが、他団体への委託に結びつきやすい、である。仮説8は、他団体を支援する条例等を策定している自治体ほど、自治体が他団体に対して維持管理能力があると考えることが、他団体への委託に結びつきやすい、である。仮説9は、自治基本条例を策定している自治体ほど、行政が他団体に対して維持管理能力があると考えることが、他団体への委託に結びつきにくい、である。結果、仮説3と9が支持された。つまり、他団体に維持管理能力があると行政が評価する自治体ほど、他団体に維持管理を委託しやすい。ただしその関連は、自治基本条例が未策定の自治体では、そうでない自治体に比べて強いことが示された。
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