研究課題/領域番号 |
16K04074
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
渡久山 清美 琉球大学, 法文学部, 講師 (70533991)
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研究分担者 |
渡久山 幸功 琉球大学, グローバル教育支援機構, 非常勤講師 (20412869)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Okinawa / US Newspapers / US Military / US Magazines / 在沖米軍基地 / 沖縄(人)表象 / 相互理解 / ポストコロニアリズム |
研究実績の概要 |
研究代表者は、初年度に米国ワシントンDCにあるジョージ・ワシントン大学で収集した米国主要新聞の沖縄関連記事を分析し、琉球大学法文学部人間科学科紀要 『人間科学』第38号(2018年3月)に 研究論文 "Representations of U.S. Military-related Matters in Major U.S. Newspaper (2015)" を投稿、掲載された。米国主要新聞2紙(ワシントン・ポストとニューヨーク・タイムズ)による2015年の在沖米軍基地関連報道における主要なニュース・フレームは、普天間基地移設に伴う辺野古沖埋め立てをめぐる沖縄県と国との対立、沖縄の住民や新基地建設に抗議する人々の声、沖縄における反新基地建設運動に対する日本政府の強行的対応などであった。2012年~2014年の報道にも見られた傾向が継続している要因を分析すると同時に、記事に反映された沖縄の現状を説明した。昨今、国内外の沖縄関連報道において、必ずしも事実ではない報道、また説明不足から誤解が生じる報道が見られることに鑑み、誤報を訂正し米国と沖縄の情報格差を埋めることが喫緊の課題であると指摘した。情報格差を埋めるためには、事件の報道のみでなく、その歴史的、文化的、社会的背景事情や沖縄の現状の詳説も取り入れた報道が必須であり、情報源を米軍や米国政府等にのみ依存しないことが肝要であると指摘した。 琉球大学付属図書館や沖縄県立公文書館での資料収集を継続し、データベース化を試みている。質的分析に関しては、より客観的な分析を試みるため、研究代表者と分担者が互いの資料を分析し、各々の分析を評価する体制を構築する段階にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者の所属学部の改組があり、2016年からは改組のためのワーキング・グループ、委員会などの委員を務め、新学部説明のための高校訪問や改組のための書類作成に多くの時間を費やさなければならなかった。学内の事務的な仕事が大幅に増えたことに加え、改組で新設科目が増え、その講義の準備に腐心したため、研究活動が遅れている。 研究代表者は2017年度入学生の指導教員も務めることになり、登録調整等の指導期間に米国での学会発表(4月初旬の開催のため)が重なったうえ、改組初年度という事情もあり発表を見送らざるを得なかった。実習科目も担当しているため、学生への対応等で時間が割かれたことも要因の一つである。 また、研究分担者別の科研費プロジェクトが最終年度であったため、その研究を優先し、その分本科研費研究が予定通り進まなかった事情がある。
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今後の研究の推進方策 |
遅れを取り戻すために、収集済みの1995年から2016年までの資料のデータベース化、質的・量的分析を継続して進め、論文執筆にとりかかるが、まず、シンポジウム開催に向けて、口頭発表論文の原稿を書き上げるように努める。特に、アメリカの代表的な雑誌の沖縄関連記事に関する論考を執筆する予定である。 2016年度の米国での資料収集の際に収集できなかった資料、特に2016年~2018年の雑誌・新聞資料や原紙等を米国で収集し、データベース化と質的・量的分析を進め、論文を執筆する。可能であれば、米国関連報道を手がける国内外の記者にインタビューを行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が所属する大学の学部改組に伴う諸々の書類作成や新設科目の準備で研究計画が遅れている事情がある。また指導教員を務める学生への対応や実習指導、改組初年度のため、4月初旬に行われた米国での学会発表を見送り、旅費の使用がなされなかった経緯がある。 初年度の米国出張で収集できなかった資料収集のため、次年度に米国大学付属図書館でのリサーチを計画している。可能であれば初年度に断念した記者のインタビューを行う。 また、国内外からの研究者やジャーナリストを招くシンポジウムの開催に向けて準備を行う。
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