研究課題/領域番号 |
16K04075
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
船木 祝 札幌医科大学, 医療人育成センター, 准教授 (60624921)
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研究分担者 |
山本 武志 札幌医科大学, 保健医療学部, 准教授 (00364167)
粟屋 剛 岡山商科大学, 法学部, 教授 (20151194)
道信 良子 札幌医科大学, 医療人育成センター, 准教授 (70336410)
宮嶋 俊一 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (80645896)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 独居高齢者 / 共同体 / 老い / 死別 / 孤独 / 地域医療 / 自立 / 脆弱性 |
研究実績の概要 |
平成29年度(2年目)は、前年度から開始された札幌市、留萌市、釧路市、黒町内町の独居高齢者へのインタビュー調査を6月までに完了し、データ分析を開始した。(1)7月、北海道生命倫理研究会第10回セミナーにおいて、それぞれの研究者が専門の視点に立って、中間報告をした。船木は哲学的観点から、死別直後の困難な時期から馴化に至るプロセスにおいては自己の生活、他者との関係に関してさまざまな創意工夫がなされていることを報告した。山本は社会学の観点から、地域医療における「看取り」、「配偶者の喪失」について、宮嶋は宗教学的観点から釧路地方の独居高齢者の生活について報告した。(2)8月、第4回釧路生命倫理フォーラムにおいて、船木は市民向け公開シンポジウム「老いの生―独居高齢者の生活」を企画し、報告した。また、同フォーラム市民向け公開シンポジウム「老いの死について考える」において、船木は死別について、粟屋は死の恐怖について報告した。3)10月には、宮嶋、船木は第23回日本臨床死生学会総会一般口演において、死別を受け入れていくためには、多様な死生観が役割を果たしていることを報告した。(4)11月には、日本医学哲学・倫理学会第36回大会研究発表において、船木、宮嶋、道信、粟屋は、独居高齢者が地域共同体に入っていく要因と離れていく要因について報告した。(5)平成30年1月には、北海道生命倫理研究会第11回セミナーにおいて、船木は、共同体への希求と共同体から離れる要因について哲学的に考察した。宮嶋は死別と独居の状況について宗教学的考察を加えた。道信は、札幌市内のファミリ-・クリニックの高齢者向けのボランティア活動をする女性たちの老いの生活様式について報告した。(6)船木、宮嶋、道信は、「北海道生命倫理研究」Vol.6 (2018.3.)において、独居高齢者研究の現状と課題について報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
札幌市、留萌市、釧路市、黒松内町の協力団体から、快く協力を得ることができ、24名の研究参加者へのインタビュー調査を滞りなく終えることができた。独居初期の困難な状況については、多角的な観点から考察を加えることができた。ただし、団塊世代を含む高齢者像の構築についてはさらなる分析が必要である。 7月と平成30年1月には、船木が主催する北海道生命倫理研究会の二つのセミナーで、研究報告をそれぞれの専門の観点から行うことができた。8月には釧路生命倫理フォーラムにおいて、市民向け公開シンポジウムを企画もしくは報告し、研究成果を市民に還元することができた。10月と11月には、第23回日本臨床死生学会総会と日本医学哲学・倫理学会第36回大会の二つの全国大会で報告し、フロアからさまざまの批判を仰ぐことができた。独居高齢者の置かれている状況の地域ごとの相違が研究課題として残った。 また、研究を進行する過程で、個別インタビューだけではなく、グループ・インタビューの必要性を感じ、改めて札幌市のファミリークリニックのボランティア活動に通う女性たちへの調査を始めた。このように地域での研究範囲を拡充できた一方で、海外との比較研究にまで研究を拡げるまでには至らなかった。 ホームページを開設し(http://web.sapmed.ac.jp/hokkaido-bioethics/)、研究の概要を公表できるように体制を整えた。
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今後の研究の推進方策 |
従来通り、研究代表者及び研究分担者間で随時メールで意見交換するとともに、研究グループの打ち合わせを重ねることにより、研究における諸課題をその都度解決しつつ、研究を進行させたい。 平成30年度は、データー分析をさらに進め、地域差、性差、新たな高齢者像、ボランティア活動の役割などの課題の解決に努める。それぞれの専門の観点からだけではなく、総括的な見解を提示することを目指す。 日本生命倫理学会もしくは日本臨床死生学会のいずれかの全国大会のシンポジウムに公募し、フロアからのさまざまの意見を仰ぐ。 年2度の北海道生命倫理研究会のセミナーのうち、1回を公開セミナーにし、市民の参加を促す。留萌、釧路などの地域に出向いて、市民公開セミナーなどを企画する。市民に研究成果を還元することで、研究を拡充、深化させる 「北海道生命倫理研究」もしくは学術雑誌において、研究成果を報告する。
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次年度使用額が生じた理由 |
未使用額は76296円であるが、そのうち18,711円は岡山大学分担金の支出調整となっていいる。また、H30年3月の謝金等の金額も見込んだため、年度内では未使用分となった。差引残金は今年度の旅費等に充てる。
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