研究課題/領域番号 |
16K04076
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
堀篭 義裕 岩手県立大学, 総合政策学部, 准教授 (00305335)
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研究分担者 |
阿部 晃士 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (50305314)
茅野 恒秀 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (70583540)
平井 勇介 岩手県立大学, 総合政策学部, 講師 (60757524)
金澤 悠介 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (60572196)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 復興感 / コミュニティ |
研究実績の概要 |
平成29年11月に、調査対象地の事情により延期していた第3次横断調査を郵送で実施した。この調査は選挙人名簿から無作為抽出した18歳から79歳までの大船渡市民1,500人が対象であり、有効回収票は736票、有効回収率49.1%であった。本調査の主な結果として、約9割が復旧・復興の進捗を肯定的に評価し、生活上の不安も年齢や震災時の住宅被害による違いが見られなくなるなど、復興の進展や市民生活の落ち着きがうかがえる一方、津波被災の大きかった地区における相対的な復興の遅れや、被災地への関心の薄れを懸念する意見の増加が見られるなど復興後期に向けた課題も明らかになった。調査結果は大船渡市災害復興局に報告するとともに、東海新報平成30年3月8日第1面に結果概要が掲載され、主に岩手県沿岸南部の被災地に向け情報発信を行うことができた。 また、質的調査についてはアンケート回答者への聞取り調査の他、大船渡市末崎町と猪川町のフィールドワークをおこなった。以上の調査から、復興事業が進む一方で復興感の格差や住民間の分断が生じる理由について、仮説的に①「マキ」(親族関係)のひろがりと被害の実感との関連性と②復旧・復興過程における地域コミュニティの役割と被害の実感との関連性が浮かび上がった。①に関しては、アンケート回答者への聞取りにより示唆されたものである。②に関しては、避難所運営などで地域コミュニティの役割が機能した地区と地域コミュニティの役割が機能しなかった地区の比較などを通じて明らかとなった。 当初予定していた内容のうち、第4回パネル調査については実施を平成30年度に延期することとしたものの、第3次横断調査の実施による復興中期における住民意識の全体像の把握や、質的調査の継続を通じて、復興感の格差や住民の分断を招く要因を検討するための基礎データの蓄積を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度に予定していた第4回パネル調査を平成30年度に延期することとした。パネル調査の実施や集計・分析作業を横断調査に関する同様の作業と同時並行で進めることが、時間的に困難と判断したためである。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度実施予定から延期することとした第4回パネル調査を、平成30年後半に実施する。また、これまでの調査の分析結果について、学会発表や学術論文への取りまとめを行うとともに、調査対象地である大船渡市において、ワークショップ等の形で報告会を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に実施を予定していた第4回パネル調査を、平成30年度に延期することとしたため。平成30年度は、第4回パネル調査の実施と、調査対象地における報告会の開催により、助成金を当初予定通りに執行する計画である。
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