研究課題/領域番号 |
16K04076
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
堀篭 義裕 岩手県立大学, 総合政策学部, 准教授 (00305335)
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研究分担者 |
阿部 晃士 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (50305314)
茅野 恒秀 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (70583540)
平井 勇介 岩手県立大学, 総合政策学部, 講師 (60757524)
金澤 悠介 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (60572196)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 震災復興 / コミュニティ / 復興政策 / 社会調査 / パネル調査 / 質的調査 |
研究実績の概要 |
平成31年1月に、第4回パネル調査を郵送で実施した。この調査は第1次量的社会調査(平成23年12月に20~79歳の大船渡市民2,000人を対象に実施)の対象者のうち、パネル調査への協力意思があった人を対象に、その後の復興に関する意識の変化を追跡するものである。今回調査票を発送した543票のうち有効回収票は353票、有効回収率は65.0%であった。 第3回パネル調査(平成27年12月)からの主な変化として、「うれしかったこと」を尋ねる自由記述では、住宅再建の実現や、市街地整備の進展、被災商店街の本設など、復興の更なる進展を裏付けるものが多く見られた。一方、今回新たに設定した「自治会や近隣関係の現状」を尋ねる自由記述では、近隣関係構築における住宅再建実現者の困難や、新住民を受け入れる自治会役員の苦労、高齢化に伴う機能低下や将来的な担い手確保に対する自治会役員の不安など、コミュニティ再構築に関する問題が多く見られた。 質的調査ではアンケート回答者への聞き取り調査のほか、大船渡町、末崎町、猪川町、釜石市唐丹町のフィールドワークをおこなった。その結果、復興政策の問題点は、①商店街の問題、②災害公営住宅団地のコミュニティ形成の問題、③防潮堤の問題の3点に絞られた。②③は様々な指摘があるため、ここでは①について触れたい。被災後の住宅補償政策において、これまで商店街でみられた住宅兼商店というスタイルは基本的に補償対象外となり、生活と密接していない商店街が構成されることになった。こうした「夜は誰もいなくなる」商店街に対して住民からとまどいや不満の声も聴かれる。どういった商店街のあり方が住民にとっての復興といえるのか、引き続き検証をする必要があると考える。 以上のように、量的調査と質的調査を併用し、日常の再構築過程における「復興政策の意図せざる結果」とその背景について明らかにすることができた。
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