研究課題/領域番号 |
16K04078
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
不破 麻紀子 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (40451877)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 労働 / ジェンダー / 就業環境 |
研究実績の概要 |
平成28年度は,先行研究の整理及びデータの基礎的分析をおこなう予定であったが,概ね計画通りに研究が進んでいる.先行研究については特に経済学や経営学による知見をまとめ,労働社会学や家族社会学による知見との接点や分析視角の相違に留意しながら論点をまとめた.29年度からの本格的な分析を前に「仕事と家庭に両立支援にかかわる調査」加工した.さらに,基礎的分析および一部のデータを用いた予備的な回帰分析等をおこなった. 具体的には,以下の諸点を実行した.(1)経済学・経営学及び労働社会学・家族社会学の研究文献を中心に幅広く収集し,特に企業属性等企業のあり方と個人の有償・無償労働との関連に関する議論・知見に焦点を置きながら,これまでの成果と残された課題を整理した.(2)「仕事と家庭の両立支援にかかわる調査(労働政策研究・研修機構)」データの企業レベルデータと管理職データの基礎的分析を行うため,本研究の分析にて使用する変数の再コード化等を行い,ファイリング整理を行った.(3)企業レベル調査の情報をカテゴリーごと(①企業属性,②雇用管理等組織,③男女平等制度,④両立支援制度)に分類・整理した.(4)管理職データの記述統計及び回帰分析を実施し,分析結果はアメリカ社会学会大会(Seattle, 米国)及びWork, Employment and society大会, (University of Leeds,英国)で報告した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は,先行研究の整理及びデータの基礎的分析をおこなう予定であったが,概ね計画通りに研究が進んでいる.先行研究の整理ついては,特に経済学や経営学,労働社会学・家族社会学による理論や実証的知見を検討し,学際的な視点を導入しつつ整理を行うことができた.これまでの成果と残された課題を整理し,来年度以降の実証分析に生かす.本研究で用いる「仕事と家庭の両立支援にかかわる調査(労働政策研究・研修機構)」データの企業レベルデータと管理職データの整理・基礎的分析についても概ね計画通り進んでいる.さらに,来年度からの本格的な分析を前に,データの一部(管理職データ)を用いた記述統計及び回帰分析を実施することができ,分析結果をアメリカ社会学会大会で報告した.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は,前年度に統合・整理した「仕事と家庭の両立支援にかかわる調査」データを用いて計量分析をおこなう.まず,個人の属性・働き方と世帯内労働・生活時間及び意識の関係性を分析する.続いて,企業要因がこれらにどのように関与するか,また,個人の就業における行動が世帯内の労働・生活時間配分・生活意識に及ぼす影響にどのように媒介するか検討するため,マルチレベル分析をおこなう. (1)「仕事と家庭の両立支援にかかわる調査」データを用いて多変量解析をおこなう.まず,個人の属性や働き方が世帯内での家事育児労働行動や生活時間に関する意識・行動にどのように関連するか検討を行い,個人の就業・世帯内における交渉について分析する.(2)企業属性・組織・制度等の企業要因間の相互の関連について検討する.(3)企業属性等の要因が個人従業員の世帯内での家事育児労働行動と生活時間に関する意識・行動にどのように関連するか検討をおこなう.さらに,これら分析の結果を受けて,企業属性等の要因が個人の属性・働き方と世帯内での無償労働・生活時間配分等との関連をどのように媒介するか検討を行う.(4)補完的な分析として管理職レベルデータを企業と一般従業員の関連を媒介する中間的な要因としての「管理職効果」を分析することが可能か,検討を行う. 平成30年度は前年度までにおこなった分析結果を検討し,得られた知見をまとめ,国際・国内学会大会・研究会等で成果報告をおこなう.学会等での批判・コメントを受け,再分析をおこなった後,投稿論文の作成をおこなう.それらの結果をもとに,最終的に報告書としてまとめる
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次年度使用額が生じた理由 |
先行研究のための図書の購入予算を下回る金額で図書を購入することが可能であったことに加え,購入予定の図書が年度中に刊行されないものがあり,翌年度以降に購入することになった.また,旅費として見積もっていた予算を下回る金額の航空券・宿泊費となった.
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は,購入予定の図書・資料の購入を進める予定であるほか,本格的な分析のため,統計演算ソフト等の導入を予定している.データのファイリングや分析結果の整理などのため人件費を計上している.また,本年度は国際学会報告をアメリカ社会学会での報告1回を予定していたが,ヨーロッパで開催される国際学会にも本研究の報告が採用されたため,国際学会での報告は2回行う予定である.
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