研究課題/領域番号 |
16K04079
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
坪谷 美欧子 横浜市立大学, 国際教養学部(教養学系), 准教授 (80363795)
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研究分担者 |
蘭 信三 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (30159503)
高橋 朋子 近畿大学, 語学教育センター, 准教授 (30635165)
田中 里奈 フェリス女学院大学, 文学部, 准教授 (40532031)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 国際社会学 / 中国帰国者 / 社会統合 |
研究実績の概要 |
本研究の対象であるX団地は神奈川県内最大の公営住宅もあることから、1980年代からインドシナ難民受け入れを契機として、中国残留孤児の帰国者や南米日系人などの多くの外国籍住民が集住しており、団地内の外国人入居率は2割を超えている。 従来の移民研究では外国人の居住決定要因として最も重要なのは、就労であり、それに大きく左右される形で居住地選択も行われると考えられてきた。そこで本研究は神奈川県X団地の中国帰国者の編入を事例として、外国人住民の公営住宅への定住意識を規定する要因を明らかにする。本研究グループが実施したX団地の18歳以上の外国人住民を対象とした質問紙調査にもとづき、就労以外の移住者の「編入」や定住意識の規定要因およびその様式はなにかというリサーチクエスチョンを明らかにした。 質問紙調査の結果からは、かれらの定住意識のほか自治会活動への参加、団地における中国帰国者を中心とした日本での暮らしに対する意識が解明された。移民の編入が経済的・就労的要因のみによって決定されるという従来の仮説に対し、子どもの教育や、年齢が高い人ほど定住志向が見られるなど、着目点の修正を試みた。とりわけ本調査のサンプルが長年日本に住み団地にも長く住む人たちが多かったため、就労以外の移住者の「編入」の規定要因およびその様式、定住意識は日本人住民のそれと近づく傾向にあることが明らかになった。今後起こりうることとしては、中国帰国者や外国人住民の高齢化がより進むと、子どもの独立後も夫婦であるいは一人で、団地にとどまることが予測される。今後、中国人帰国者や外国人住民全体の長期入居にともない、高齢化や独居化など、X団地で現在深刻な問題となっている日本人住民の高齢化の問題を現れることも予想される。
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