研究課題/領域番号 |
16K04084
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
松宮 朝 愛知県立大学, 教育福祉学部, 准教授 (10322778)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地域包括ケアシステム / 地域共生社会 / 都市農業 / コミュニティ / 多文化共生 / 長久手市 / 西尾市 |
研究実績の概要 |
2018年度は、長久手市の地域包括ケアシステムを中心に、静岡県掛川市、愛知県岡崎市、尾張旭市、西尾市、刈谷市との比較研究を実施した。地域包括ケアシステムと農の活動、ボランティア活動との関係、多文化共生、高齢者など、多様な領域との連動性を重視して調査研究を進めた。特に、農の活動は、高齢者の健康増進力、生きがい創出などの「農の福祉力」として注目されている。これまでの研究では、農の活動は、その他の活動と比較して、高齢者の身体能力、通院頻度などの身体的健康、主観的健康観、生活満足感などの精神的健康、外出頻度などの社会的健康の数値が維持・改善される効果があるとされている。このように高齢者による農の活動には、農業生産でイメージされる生産的効果、経済的効果だけでなく、身体的・精神的・社会的効用など、多様な効用が認められているのだ。こうした点から、農の活動生活に取り入れられることで、心理的な好影響や、身体を動かすことによる介護予防などの身体面への好影響、農の活動を通じた社会参加や社会関係の形成といった社会的効果などの期待につながっている。こうした高齢者による農の活動への期待は、実際に社会福祉領域においても取り入れられつつある。厚生労働省は今後の地域福祉の柱として、「地域住民や地域の多様な主体が 『我が事』として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて『丸ごと』つながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会」である「地域共生社会」を提起している。「地域共生社会」実現のための実践例として、人口減少に伴って拡大している耕作放棄地の活用や、遊休耕作地を活用した認知症高齢者の社会参加と認知症予防、高齢者の生きがい活動として農業の活用等を推進することが謳われており、高齢者の農の活動への期待が認められる。調査研究の成果として、学会報告1本、論文4本にまとめることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査研究については、研究計画通り実現しているため。
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今後の研究の推進方策 |
調査研究についてはほぼ予定通りの達成状況で、最終年度はこれまでの補足調査と、研究成果のとりまとめを行う。学会報告2回、論文投稿2本の予定である。研究協力者の移動のため、調査対象予定地の山形県鶴岡市をとりやめ、同じ東北地方の宮城県加美町に変更している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度の調査事業に一部変更を行ったため。
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