研究課題/領域番号 |
16K04088
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
糟屋 美千子 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (20514433)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | テレビニュース / クリティカル・ディスコース分析 / メディア・ディスコース / イデオロギー / 社会問題 / マルチ・モダリティ |
研究実績の概要 |
本研究は、クリティカル・ディスコース分析を中心としたディスコース理論や社会理論・メディア理論に基づいて、社会問題に関する日本のテレビ報道を分析・検討し、社会問題に関わる現代社会のイデオロギーが、日本の公共放送・民間放送の、日々のニュースや週末の報道番組のディスコースの言語的・パラ言語的要素により、どのように構築されているかを解明することを目指すものである。 平成28年度は、本研究の第1段階として、社会問題を扱った日々のテレビニュースのデータ収集を行い、データを文字起こししてスクリプトを作成した。そして、データから、言語的要素とパラ言語的要素を抽出し、イデオロギー構築の分析を行った。データとしては、日本で毎日放送される、公共放送と民間放送のテレビニュースを用い、ディスコースの要素がどのように相互作用をすることで、特定の考え方を構築しているかを検討した。 分析・検討の結果、社会問題に関するテレビニュースにおいて、出来事のある部分が重く扱われる一方で、別の部分は軽く扱われるか、またはまったく存在しないもののように扱われることで、特定の考え方の枠組みが構築されていることがわかった。出来事に関するある部分がニュースのどこかで示されたというだけでは、それが重要なものとして扱われたとは言えず、それがどのような問いかけや解説の中で使われたか、どのような順番でどう使われたかなどによって、それが重視すべきものであるかどうかというメッセージを送っていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの研究は、当初の予定通り、テレビニュースのデータの収集、選択したデータのスクリプトの作成、データからの要素の抽出を行い、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、本研究の第2段階として、日本で週末に放送される公共放送・民間放送のテレビ報道のデータ収集と分析を行う。平成30年度は、本研究の第3段階として、公共放送・民間放送の日々のニュースと週末の報道番組の比較検討を行うことで、テレビ報道のディスコースによるイデオロギー構築を多面的視点から検討し、社会問題に関する報道による、深部に隠れたイデオロギー構築の仕組みを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度の収支状況について、次年度使用額の34,839円は、平成29年3月に予定していた資料収集を目的とする出張が遅れたために生じたものである。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度に資料収集の出張を実施して使用する。
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