研究課題/領域番号 |
16K04090
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研究機関 | 宮崎公立大学 |
研究代表者 |
戸高 由美 (四方由美) 宮崎公立大学, 人文学部, 教授 (10316200)
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研究分担者 |
北出 真紀恵 東海学園大学, 人文学部, 准教授 (10410862)
大谷 奈緒子 東洋大学, 社会学部, 教授 (50364716)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 犯罪報道 / ジェンダー / 内容分析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、現代日本の犯罪報道について、テクスト(報道内容)、送り手、受け手、3つの側面からアプローチを行い、犯罪報道におけるジェンダー問題を明らかにすることである。これまで犯罪報道に関する問題は、報道される者の人権やプライバシーという観点から議論されてきたが、その実証研究や効果に関する研究は十分とはいえない。また近年では、メディアや情報、犯罪をめぐる法制度の変化や多メディア時代の情報環境など、多方面から論じる必要がある。他方、メディアとジェンダー研究は、報道における女性表現の偏りやその要因、ジェンダーに関する事柄が受け手の認識に及ぼす影響について言及しているが、これらのことを論じるには実証的裏付けが必要だと考えるからである。 初年度である平成28年度は、3回の研究会と1回のワーキンググループの会合を開き、4年間で行う研究計画を立てるとともに、本研究で調査に用いる事例(事件)を選定し、内容分析のための準備を行った。具体的には、平成28年11月から平成29年1月に発生し、報道された事件のうち、女性が被害者/被疑者となった事例で報道件数が多かったものを選定した。女性が被害者の事件として「千葉大生集団強姦事件」「仏・留学生不明事件」「大阪准看護師強殺事件」、被疑者の事件として「大阪男児死体遺棄事件」「大阪乳児死亡事件」「千葉アレルギー殺人未遂事件」の各3事件を選定し、新聞(朝日新聞、読売新聞、毎日新聞)、週刊誌(週刊文春、週刊新潮、週刊現代)、テレビ報道(各局主要ニュース1番組、各局ワイドショーなどニュース以外で事件を扱う1番組)の資料収集と整理を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、映像資料の入手のために、首都圏報道の全番組録画機能を有した機器の購入を必要としたが、機器の購入時期が予定より遅れてしまった。そのため、報道された事件から対象事例(事件)を選定する時期も遅くなった。よって、平成28年度は、新聞、週刊誌、映像それぞれの資料の収集と整理を行うことはできたが、分析の実施、および結果を提出するまでに至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に収集した資料をもとに、報道内容の量的・質的分析として、活字メディア(新聞、週刊誌)に関してはCHコーダーを用いて対応分析、共起ネットワーク、コロケーション統計を行う予定である。また、映像メディア(テレビ番組)については、W.ラッセル・ニューマン他/川端美樹他訳2008『ニュースはどのように理解されるか メディアフレームと政治的意味の構築』慶應義塾大学出版などを参考に分析を行い、メディア別にフレームの導出を行いたい。 また、これらの結果をもとに平成29年度に実施予定の受け手調査の質問紙の項目を策定する。受け手調査は、20歳以上の男女1,000名を対象とした質問紙調査とし、調査対象者は業務委託業者の有するインターネットモニターから抽出、インターネットを利用した報道評価をはかることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
映像データ収集のための録画機器およびその付属機器購入のために、平成28年9月に400,000円の前倒し請求を行い受領したが、機器は予想より安価で購入できた。加えて、分析作業が遅くなったことにより人件費として計上していた予算の執行ができなかった。よって、使用額に差が生じてしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に実施する予定であった分析作業を行うために、人件費(内容分析補助アルバイト)を執行する予定である。
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