これまでの研究成果を論文「ミソジニーはなくせるか ーメディアのジェンダーバイアス解消という課題」にまとめ、日本マス・コミュニケーション学会(現 日本メディア学会)の学会誌である『マス・コミュニケーション研究』第99号に公表した。 犯罪報道とそれらを取り巻く状況を軸に、ジェンダー表現について女性の伝えられ方を中心に考察し、メディアの在り方を探ったものである。近年は、少なくとも新聞の犯罪報道においては、個人情報やプライバシーの暴露、煽情的な記述などを含め、ジェンダー問題がみられなくなった。しかし、インターネット空間においては状況が異なる。被疑者・被害者女性への誹謗・中傷は激化しており「デジタル性暴力」が起こっていることを問題提起した。 また、2018年に受け手調査として行った「マスコミ報道に関する意識調査」(2018年5月インターネット調査)から4年を経て比較を行うため、に調査項目を一部修正した内容で「マスコミ報道に関する意識調査2022」(2022年2月インターネット調査)を行った。いずれも調査の項目は、「メディア接触」「基本属性」「犯罪報道に対する認識と被害経験」「マスコミやインターネットに対する意見」に加え、女性が係わる事件の報道評価を尋ねる項目として、「殺人事件の報道についての意見」「幼児虐待事件についての意見」「性犯罪事件についての意見」などから構成した。調査結果については2022年度に分析結果を公表する予定である。
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