本研究の学術的意義は、先行研究が指摘してきた、グローバリゼーションと新自由主義がもたらすナショナルなシティズンシップの動揺と分裂のあり方について、先住民族を含めたエスニック・マイノリティとマジョリティ国民の関係性という独自の着眼点から綿密な社会学的な現地調査を実施し、そこから得られたデータに基づいた理論的一般化を行ったことにある。さらに、日本とオーストラリアを題材とした比較考察を行う点にも特徴があった。またこうした研究を著書、論文、学会等での報告として公開することで、多民族・多文化共生を目指す学問的・実践的取り組みに貢献することができた。
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