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2016 年度 実施状況報告書

日本と台湾の油症被害者の受容克服過程と救済制度、環境運動の比較環境社会学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K04109
研究機関立正大学

研究代表者

堀田 恭子  立正大学, 文学部, 准教授 (20325674)

研究分担者 宇田 和子  福岡工業大学, 社会環境学部, 助教 (90733551)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード食品公害 / カネミ油症 / 台湾油症 / 森永ヒ素ミルク事件 / 被害構造 / 補償 / 救済制度
研究実績の概要

日本と台湾における油症事件の救済制度に関する収集資料を中心に、それぞれの特性等を考察した。日本の場合は救済政策として一番進んでいると思われる長崎県五島市、台湾においては台湾政府と地方政府である台中市を中心にその救済制度をみてきた。さらに台湾で2015年に制定されたケア法については、条文等において被害がどのように語られているのか、政策としてどのように展開しているのかを社会的背景とともに研究した。日本でも2012年に制定された推進法が存在する。これら日台の二つの法は比較研究すべきものであるが、今年度は個別に分析・考察を重ねている段階である。次年度以降の比較考察のために、まず「被害」の視点から、法制度がどのようにとらえているのか、資料分析をもとに行った。
さらに油症被害と補償問題の関係について、日本を中心に政策提言も含みながら、分析・考察をし、報告等も実施してきた。同時に食品公害の原点とも言われている森永ヒ素ミルク事件の関係者の方々、たとえば親世代に対してもヒアリング調査を実施し、森永ヒ素ミルク事件の現在、ならびにそれに関する資料収集等も実施してきた。食品公害患者の高齢化問題もさることながら、いまだ語られてこなかった被害の実態が確認された。
今年度は、現地調査が諸般の事情から予定通りできず、患者の量的調査の準備がままならなかったが、できるかぎりでインターネットを駆使しながら、電子データ等を収集し、解読をすすめてきた。また日本で五島市以外の自治体の状況、原因企業・国・被害者団体の推進法に基づく三者協議会の現状も可能な限りで資料収集等を行い、患者側の要求、原因企業側の状況、国の姿勢等を分析考察してきた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本務校業務の関係で、現地調査ができなかったが、インターネット等を利用して、電子データ等を収集し、これまでの調査で得られた資料を活かして、台湾でのケア法に関する考察に関しては、まとめることができた。
日本の場合は、五島市に関する最新の情報、また被害者団体・国・原因企業の三者協議階の現状に関する資料を収集した段階で、まとめの段階まではいけなかった。
しかし、日本の油症被害と補償問題に関しては政策提言の観点から報告を行った。

今後の研究の推進方策

今後は、収集した資料の分析に力を注ぎ、さらに台湾での現地調査等も踏まえ、被害者調査の調査設計と救済制度に関する現状と課題をまとめていく。被害者調査に関しては、被害者・支援団体との関係上、難しいようであれば、質的に振り替え、量的に関しては厚労省が毎年やっている被害者調査と台湾でのQOL調査を応用しながら、分析・考察を行っていく。

次年度使用額が生じた理由

東アジア環境社会学シンポジウムが2017年10月に台湾で実施されることとなり、研究協力者とともに食品公害・日台油症事件の比較考察を発表することを予定している。また日をあらためて台湾での現地調査も実施する予定である。
そのため、次年度の金額では報告と調査を両方実施するのに多少の困難が予想されたため、今年度の利用額を次年度にまわすことにした。また国内でも環境法政策学会・環境経済政策学会・環境社会学会の三学会シンポジウムで油症に関して代表者が登壇することに決まっている。京都で実施するためにも、交通費等が発生する。そのためにも次年度での使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

7月に京都で、三学会シンポジウム参加・報告に関する旅費等。
10月に台湾で、東アジア環境社会学会で参加・報告に関する宿泊費・交通費等
3月に台湾での現地調査のための宿泊費・交通費等。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件)

  • [雑誌論文] 化学物質過敏症の病の経験と政策に関する社会学的研究2016

    • 著者名/発表者名
      宇田和子
    • 雑誌名

      福岡工業大学環境科学研究所所報

      巻: 10 ページ: 3-4

    • 謝辞記載あり
  • [学会発表] 食品公害の被害と補償問題2017

    • 著者名/発表者名
      宇田和子
    • 学会等名
      日本保健医療社会学会2016年度第2回定例研究会
    • 発表場所
      首都大学東京秋葉原サテライトキャンパス(東京都)
    • 年月日
      2017-03-05
    • 招待講演
  • [学会発表] 油症被害をどう補償できるのか:政策提言の試み2016

    • 著者名/発表者名
      宇田和子
    • 学会等名
      カネミ油症被害者支援センター学習会
    • 発表場所
      豊島区生活産業プラザ(東京都)
    • 年月日
      2016-08-12
    • 招待講演
  • [学会発表] Isolated Illness:Characteristics and Issues of Multiple Chemical Sensitivity2016

    • 著者名/発表者名
      Kazuko Uda
    • 学会等名
      The 3rd ISA Forum of Sociology
    • 発表場所
      University of Vienna (Austria)
    • 年月日
      2016-07-12
    • 国際学会
  • [学会発表] なぜ被害者は被害を訴え続けなければならないのか2016

    • 著者名/発表者名
      宇田和子
    • 学会等名
      有害化学物質削減ネットワーク・総会記念シンポジウム
    • 発表場所
      明治大学駿河台キャンパス
    • 年月日
      2016-05-29
    • 招待講演
  • [学会発表] 森永ヒ素ミルク中毒事件から考える食品2016

    • 著者名/発表者名
      中島貴子
    • 学会等名
      有害化学物質削減ネットワーク・総会記念シンポジウム
    • 発表場所
      明治大学駿河台キャンパス
    • 年月日
      2016-05-29
    • 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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