研究課題/領域番号 |
16K04110
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
山本 武利 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30098412)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 検閲 / GHQ / メディア / CCD / プレスコード / 発行禁止 |
研究実績の概要 |
CCD第Ⅱ区CCDの検閲本部や支部の所在をつきとめることに成功した。とくに本部のあった綿業会館を訪問し、各セクションの活動状況を確認することができた意義は大きい。 CCD第Ⅲ区のあった福岡市を訪ね、県・市の図書館の郷土資料にあたり、検閲本部の所在を確認した。また検閲者の研究を行っている地元の演劇関係者から資料提供を受けた。さらに検閲を受けた地元高校新聞の関係者へのインタビューを行った。 CCDⅠ区では検閲者の現存者数名にインタビューして、当時の職場の実態の確認に努めた。とくに東京中央郵便局で郵便検閲を現場で監督したDACの一人Kinoshita Junjiの実名が劇作家木下順二ではないかとの追跡を行い、各種資料や出版社編集者の証言からつきとめることができた。その際、東京や静岡の木下順二関係の資料館での周辺資料の収集を行った。一方、CCDのもとで検閲を行った人からインタビューも進めたが、生存者が減少していることからくる限界を克服するために検閲者の孫の方へのインタビューをおこなった。この方面での作業は第3年度にもすすめる必要性を感じた。 第3年度の最終報告のための構想を練るための意見交換を専門家や出版編集者と協議する機会を持った。 すでに『Intelligence』17号や『陸軍中野学校-「秘密工作員」養成機関の実像』に研究中間報告を行い、研究者やメディア関係者から意見や批判を受けている。ユニークな視点であるとのひ評価がある一方、検閲者の絶対数が不足しているとのきびしい指摘を受けた。検閲者は全国に散在している。各地の新聞、テレビの協力を得て実数増加を図る決意である。これらを反映した研究実績をあげるつもりである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
検閲者で実名が判明した者はすでに150名に達している。また実際に面会できた検閲者は15名ほどである。今後の増加は望めないものの、数名は生存者を探し当て、面会を実施したいと考えている。 検閲者がかかわる言論統制は検閲要項、プレスコードの文章とそれの実施状況をCCDの現場で確認することであろう。
|
今後の研究の推進方策 |
以下の項目に合わせて今年度の前半に収集資料、データを整理する。CCDに応募した動機。採用時の面接場所。採用時期。勤務時間、英語力。職種と昇進試験。講習ガイダンス。勤務時間。通勤手当。給与。仕事場所。チームの人員数。採用者番号。同僚の構成。男女比。学歴。米軍将校の監視。日系2世の存在。仕事の内容。検閲要項。翻訳作業。休憩。欠勤。サークル。PX.給与の使い方。検閲者周辺への仕事内容の通知。退職と退職金。退職後の勤務先。GHQへの感想。メディアの検閲報道。 以上の項目別の整理が終わった段階で、検閲者のさまざまの行為が当時のGHQのメディア統制にもった局面をミクロ、マクロの資格から総括するのが最終課題である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
アメリカ、ハワイ、シンガポール、マレイシア、中国など海外資料館、図書館での調査を実施する計画が、国内調査に時間を使ったため実行できなかった。今年度中にこれらの海外調査を出来るだけ行う予定である。
|