研究課題/領域番号 |
16K04113
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
石川 雅典 常葉大学, 保育学部, 教授 (90289752)
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研究分担者 |
稲葉 光彦 常葉大学, 保育学部, 教授 (30223233)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 平成の市町村合併 / 函館市 / 編入合併 / 町内会 / 自治 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、研究課題ならびに研究課題のフィールドである函館市の関連文献・資料を道内外で収集するとともに、平成の市町村合併によって函館市に吸収された一編入合併地域の行政機関および住民の方々を対象として、次年度に予定している本調査の主旨説明・協力依頼を兼ねた現地調査を実施し、編入合併後の地域的な諸影響の再検証と編入合併に至る合併直前のプロセスの分析を行った。 現地調査を行った編入合併地域では、行財政の効率化の一環として、合併後12年を経た時点で新たに隣接地域との中学校統合問題が浮上し、その受け止めをめぐって住民の間に微妙な食い違いの生じていることが確認された。合併の影響としての中学校統合問題は、地域存続と学校教育のあり方ならびに両者の関係性を論点としているため、結論が出るまでには暫くの時間を要することが見込まれる。 編入合併直前のプロセス分析は、これまでの研究知見、ならびに新たに収集した広報誌などの郷土資料の解読と現地調査に拠って行い、本来、市町村合併に備わっている「選択」という性質が当該地域においては選択のための資源や機会という点でかなり限定的であったことが析出された。 次年度の本調査に向けた主旨説明・協力依頼では、研究課題の重要な焦点となる町内会活動の推移と現状、およびこれまで一つの地域振興策として取り組まれてきた「パワーアップ」事業の経緯と現状、課題を再確認するとともに、本調査の対象や方法について地元関係者と意見交換を行った。パワーアップ事業は当初より町内会再編により取り組むこととして構想されてきたが、活動目的や活動内容をめぐって課題が残されており、本調査に向けて地元関係者との間で現状認識について共有化を図った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展している主な理由は、研究計画書に見合う調査対象地が過去の研究実績などに基いて選定され、3年計画の初年度において、報告者と調査対象地の関係者との間で現地調査などのスケジュールを予め調整しながら組み立てることができたためである。加えて、現地調査ならではの新たな情報・データの収集やこれまでの知見の再確認もできている。なお、研究課題の遂行に関わる理論仮説については鋭意検討を行っているものの、若干の余地が残されている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、前年度の実績に基づいて計画的にスケジュールを組み立て、夏期休暇中に本調査を実施できるよう準備を進める。調査実施にあたっては、調査対象地の関係者や研究協力者などと予め具体的な日程調整ならびに調査項目の作成・編集、調査方法の最終確認を入念に行い、限られた日時・機会において最大限の成果が得られるよう努める。 また、文献や資料の収集も継続的かつ計画的に行い、研究課題の理論仮説の検討や市町村合併に伴うプロセスの分析に活かしていく。なお、市町村合併の背景・根拠やプロセスは当該地域の文脈において明らかとされていない点があると考えられるため、研究課題遂行にあたり当初予期していない展開や新たな発見があった場合には、過去の研究実績や新たな展開などの前後関係に留意しながら、研究課題の遂行に支障が生じないよう柔軟に追究していくこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
大きく分けて2点挙げられる。一つは、研究課題を遂行するうえで必要な郷土資料の検索・購入手続きに少々時間を要したことであり、もう一つは、現地調査によって得られた記録データの整理を学生へ作業依頼する計画を立てていたが、想定以上に作業時間の調整が図れず、作業課題そのものはあったものの、当初計画に見合った作業時間を確保することが難しかったことである。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は3年計画の2年目にあたり、本調査を実施することとなっているため、調査対象地と引き続き日程等の調整を図りながら、研究実施計画に記載した内容のデータ収集を入念に行う。また、得られたデータの整理については学生への依頼をより一層計画的行う。さらに、研究課題に関わる文献・資料の収集を引き続き精力的に行う。
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