研究課題/領域番号 |
16K04113
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
石川 雅典 常葉大学, 社会環境学部, 教授 (90289752)
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研究分担者 |
稲葉 光彦 常葉大学, 経営学部, 教授 (30223233)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地域自治 / 平成の市町村合併 / 函館市 / 編入合併 / 法定外の地域住民組織 |
研究実績の概要 |
3年目にあたる2018年度は、昨年度まで収集したデータと資料の分析を行うとともに、成果の取りまとめにあたって必要となる補充データの収集を行った。 函館市では、2004年の合併後15年目の節目を迎えようとしていることから、7月下旬には、市企画部計画推進室計画調整課にて、函館市合併建設計画の進捗状況と、合併後設置されてきた法定の地域審議会の解散ならびに解散後の地域振興についてヒアリング調査と意見交換を行った。建設計画に見合う必要な行政サービスと予算措置は概ね施されてきている一方で、地域審議会解散後の具体的な対応については庁内で協議が重ねられている。意見交換にあたり、報告者は地方創生政策の一つである「小さな拠点」が今後の被合併地域における地域持続の一つの手法になるのではないかとの提案を行った。 8月には、法定外の地域住民組織による地域運営の可能性を再確認するため、函館市椴法華地区において合併後に創設されたパワーアップ事業の複数の関係者や函館市椴法華支所職員を対象として補充調査を行った。具体的には、①椴法華町内会によるパワーアップ事業のこれまでの取り組み経緯②地域審議会解散以降の椴法華地区における地域(住民)自治の見通し、について重点的にヒアリングを行った。これまでのデータと照合させながら再確認できたことは、4半世紀以上前からむらづくりの活動に携わっているメンバーがパワーアップ事業の中核部分を篤く支えていることであった。これは、換言すれば合併後の地域持続にあたり、その基盤が時を超えて脈々と受け継がれていること、その一方で世代交代がすすんでいないことを意味する。合併後急速に縮減化する椴法華地区にとって、従前のそして新規の地域課題出現とともに、地域持続に向けた多主体間の連携、ことに法定外の地域住民組織と広域行政との重層的な連携のあり方ならびにその環境整備がいよいよ問われる段階にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2016年度の準備調査から始まり、3年の間に調査対象地へ何回となく足を運ぶことによって、研究課題に関わるデータは一定程度入手できたと考えている。一方で、次のような事情により引き続き取りまとめに時間を必要とするため、補助事業期間を1年間延期するための手続きをとった。 1つは、ヒアリング調査による膨大な文字データの整理・確認である。2016~2017年度は学部の学生にデータ整理を計画的に有償で依頼してきたが、2018年度は報告者に関わる想定以上の事情も重なって、学生へのデータ整理依頼を調整することが至難であった。 もう一つは、本研究課題の資料収集の要であった北海道立図書館(北方資料室)が天井材のアスベスト剥離の関係で2017年10月よりほぼ1年半にわたり利用制限されていたことである。昨年度の「今後の研究の推進方策」に記したような近隣の非合併自治体に関連する道内の稀少な郷土資料の閲覧には欠かせない施設であっただけに、利用制限措置は関連資料の収集に少なからぬ影響があった。
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今後の研究の推進方策 |
上記の「現在までの進捗状況」で記したように、現地調査でこれまでに収集したデータの残された分の整理・確認を行いながら、法定外の地域住民組織による地域自治の可能性について分析するとともに、研究課題を掘り下げるうえで必要な追加資料の収集を行い、報告書の作成・完成を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 3年計画の最終年度にあたるため、取りまとめのための準備計画はたてたものの、補助事業期間延長申請した理由に記したような想定以上の事情により、2018年夏以降の現地の地域審議会の傍聴と、収集データ整理・確認のための学部学生との日程調整が至難であったこと、および報告書作成に至らなかったことによる。 (使用計画) 2019年度は、これまでに得られたデータの整理等を計画的に行いながら、報告書の作成に向けて鋭意取り組む。さらに、研究課題に関わる追加資料の収集に努める。
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