研究課題/領域番号 |
16K04119
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
崎山 治男 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (20361553)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 感情労働 / 心理主義化 / ラポール |
研究実績の概要 |
本年度は、コロナ禍の中で当初予定していた質的調査が実施出来なかった。その代わりに心理主義化の進展に関する文献研究と、質的調査に関わる予備作業を行った。 前者に関しては、コロナ禍の中での業務のオンライン化・ICT化が労働市場において、高度な感情労働・コミュニケーションスキルが求められる層と、いわゆるブルシット・ジョブと呼ばれる層とに二極化されていくことを考察した。併せて、特に前者の層で高度化するコミュニケーションに対応した心理学的な知が求められることを確認した。 後者に関しては、特に調査時のラポール形成に果たす感情の役割についてこれまでの調査研究での経験を踏まえた考察を行った。そこでは、通常ラポール形成といった対象者との関係性構築に際する感情経験は中立的であることがこれまでの研究で強調されていたのに対し、むしろ調査者の感情経験こそが関係形成に関わるシグナル機能を果たすことを明らかにした。また、同時にラポール形成に向けてこれまでの研究では「肯定的」な感情経験が重視されているのに対し、むしろ「否定的」な感情経験もまた、調査者の関係への気づきを促してくれるものであることを明らかにした。これらの成果は、崎山治男2021「社会調査という関係性と感情経験」『立命館大学産業社会論集』にまとめられている。 総じてコロナ禍の中で特に質的調査の遂行に困難がある中で、withコロナに移行した際の研究の基礎固めを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染拡大により質的調査の実査が行えなかったことによる。
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今後の研究の推進方策 |
まずはコロナ感染の拡大如何であるが、本研究課題で目指していた感情労働と心理主義化が上記した労働の二極化にいかに寄与していくのか、という点への実査を目指したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染拡大のため質的調査を行えなかったため。コロナ感染の状況によるが、質的調査に利用する計画である。
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