日本においては「夫親と同居、その親を経済・世話面で援助、その親から相続を受ける」といった父系規範に従い居住・援助と相続を一体的に行う家制度的な状況が1980年代頃まであったが、近年こうした状況は変化している。本研究では世代間の居住・援助の変化や、子世代の性別分業の変化と、それらに伴う相続の変化を、量的・質的データによって分析した。その結果、現代日本では相続、居住、援助といった世代関係は、その面によって関係が異なり(多次元性)、その背後に、a)父系規範(夫親優位)や性別分業と、b)男女平等や女性からみた生活しやすい世代関係(妻親優位)の、両者を共存させようとする人々の調整があることがわかった。
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