研究課題/領域番号 |
16K04128
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研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
魯 ゼウォン 天理大学, 国際学部, 教授 (30303572)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | コリアンタウン / 在米コリアン / 移民団体 / ニューヨーク / 比較研究 / 下関市のコリアンタウン |
研究実績の概要 |
今年度の研究実績として、ニューヨーク市の韓人移民団体と地域社会のつながりについての理論的研究のために、文献資料を探して、アジア系移民の歴史とその現況の分析を試みたことが挙げられる。その際、コミュニティボートというアメリカの住民組織を取り上げ、コミュニティボートに韓人移民者がどのように関わっているのかに重点をおいて調べた。その結果、韓人移民の多いコリアンタウンにおいて、移民団体の役員がコミュニティボートへのつながりをもっていることが明確になった。たとえば、韓人会の会長は、コミュニティボートのマネージャとネットワークを形成して、コリアンタウンの祭りにコミュニティボートの協力を得ている傾向が確認できた。また、白人が住んでいるところに形成されているコリアンタウンでは、韓人会のみならず、多様な韓人移民団体の役員がかかわっていることが分かった。現在は、コミュニティボートと移民団体は緩やかな絆を形成している段階にあるといえる。 こうした米国のコリアンタウンと比較するために、日本のコリアンタウンを取り上げ、調査を実施した。日本のコリアンタウンとして、戦前に近いコミュニティを保っているのは、山口県下関市の在日韓国朝鮮人である。下関市の特徴は、コリアンタウンを活用して街づくりを行っている点である。コリアンタウン地域で「リトル釜山フェスタ」という地域イベントを企画して、2001年から実行している。その結果、年2万人の人々が集まって、イベントとしては成功しているが、持続可能な街づくりを形成するために、コリアンタウンの再開発と在日韓国朝鮮人の関わりが重要となる。下関市のコリアンタウンを通じてわかったのは、コリアンタウンの韓国朝鮮人はイベントを通じて、行政と関わって、地域の中心人物になったことである。この点で、ニューヨークの韓人がコミュニティボートを通じて、地域の中心人物になるかどうかが問われている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
米国ニューヨーク市での資料収集とインタビュー調査をまとめながら、比較研究としての下関市のコリアンタウンについての資料収集とインタビュー調査を行っている。調査対象者との信頼関係もあり、日本と米国での調査は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の本研究課題は米国での移民社会と地域社会の関わり、下関史での外国人と地域社会の関わりについて、補充調査を行う予定である。本年度は、移民団体の中心人物の生活史に焦点をおいて、移民が個人に与えた影響を踏まえてまとめる予定である。なお、調査結果を論文としてまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
その理由は、日本の下関市調査を行ったために、米国への現地調査を実施できなかったからである。
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次年度使用額の使用計画 |
使用計画については、米国のニューヨーク、日本の下関、韓国のソウル市への現地調査を行う予定である。
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