研究課題
本年度は次の2つのことについて注力して研究を遂行した.まず1点目は、プライマリ・ケア診療場面の映像データの文字起こしの作成である.前年度に完成しなかったおおよそ200分ほどのデータの書き起こしを完成させた.これでこれまでで収集した100件近くのデータについて書き起こしが完成し、データセットとして項目・種類ごとの整理を行った.2点目はこのデータセットを元にさらに分析を進めた.主には医師患者間の信頼関係が危うくなるような場面の分析を行った.そうした場面で医師と患者がどのようにお互いの関係性を維持するのかに注目した.例えば、患者から医師が提案した治療方針とは違う方向性が志向された場合、医師が関係性を維持しつつ、両者にとって望ましいと思われる治療方針を選択するために行う相互行為的プロセスについて明らかにした.また患者がこれまでにかかったことのある医療機関が提示した治療方針に関して質問をするもしくは不満を表した際に、医師の対応について議論を進めた.医療の信頼を保持しながらも患者に対して関係性を維持する難しさが指摘された.医師と患者の信頼が危うくなり得る機会にどう対応しているかについて分析を進めた.これらの分析については、発表論文2件にまとめた.
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
社会言語科学
巻: 22 ページ: 46~61
10.19024/jajls.22.2_46
Social Science & Medicine
巻: 265 ページ: 113278~113278
10.1016/j.socscimed.2020.113278