リカバリーを促進する精神保健専門職の態度とエンパワメントに関する研究 ①精神保健専門職におけるエンパワメントの要因を検討することを目的に平成28年度に調査したインタビュウデータについての質的分析を引き続き行った.医師 2名、看護師2名、作業療法士7名、社会福祉士及び精神保健福祉士13名、管理栄養士1名、当事者スタッフ2名、計27名中の20名について、第1回目の分析を終了し「信頼」「安心」「協調」「情報公開」「自由裁量」「学び」「回復への期待」「柔軟性」「業務の量と質」の9要因を抽出した.更に残りの7名に付き分析を行った結果、“支援における肯定的体験:当事者の回復/当事者の就労/スタッフに心を開く”と、“支援における困難:結果の不確かさ/重篤な症状/行動化”が抽出された.これらの質的研究「精神保健専門職のエンパワメントの要因」について、このうち、精密に行った19名分の分析結果を2019年10月に開催された「社会 精神医学会第23回世界大会:ルーマニア」において発表を行った.精神保健領域の職場環境についての質問紙「A psychometric evaluation of the Working Environment Scale-10」の邦訳版を行い、バックトランスレートにて確認した. 昨年、実施する予定であった本年度実施する最終調査である「精神保健専門職のエンパワメントと精神障害をもつ人に対する肯定的態度調査」の際に併せて使用する「The Recovery Knowledge Inventory」については、邦訳が終わり、「精神保健専門職のエンパワメント尺度」を作成した.現在作成した前述尺度についての信頼性・妥当性検討及び、専門職のエンパワメントと精神障害もつ人に対する態度についての最終調査ついては、現在、実施計画中である.
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