研究成果発表のための書籍化、(書名)『社会保障裁判研究(仮)』をすすめた。本書は、小川政亮編『社会保障裁判』(ミネルヴァ書房1980年)でとりあげられた以降の社会保障裁判に着目し、裁判の理論面および運動面の発展、裁判が法制度に与えた影響を確認するとともに、現代の社会保障法の理論的課題に向き合うものである。本書における社会保障裁判研究は、単なる判例評釈・判例研究ではなく、法社会学的な観点や手法をふまえ、裁判の背景と経過、争点、裁判の意義・法解釈や法制度に与えた影響等の成果をおさえることを目指している。また、社会保障裁判からみた社会保障法学の課題を明らかにすることも意図している。 なお、前掲小川編『社会保障裁判』以降、社会保障裁判の訴訟形態、対象および範囲、原告数等は多様となっているが、本書では1990年代以降の主要な社会保障裁判を取り上げた研究論文を掲載することとし、さらに裁判にかかわる原告、代理人弁護士、支援団体、医療ソーシャルワーカー等によるコラムや、社会保障裁判の年表をのせている。 出版作業が当初の予定より遅れたため、2019年度は新たな社会保障・社会福祉行政、関連裁判動向をふまえた内容の加筆修正を行った。現在、出版社に入稿を済ませており、2020年秋の刊行を予定している。
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