研究課題/領域番号 |
16K04151
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
影山 摩子弥 横浜市立大学, 都市社会文化研究科, 教授 (80214279)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 障害者雇用 / 雇用支援 / 地域連携 / 地域ネットワーク |
研究実績の概要 |
2017年度は、大きく分けて2つの研究を実施した。 1.全国の主要なネットワーク型の連携に対するヒアリング調査の実施 障害者雇用にかかわる地域連携はたくさんあるが、通常は、「障害者を支援する」ことを目的とした福祉系のネットワークであり、「障害者が安心して働き、定着を促進するためには雇用する企業の支援が必要」という研究テーマに合致するネットワークは、多くない。しかし、近年では企業支援(を通しての障害者支援)の意義が認識され、ネットワークの形成が広がってきている感がある。それゆえ、本研究の対象として取り上げたわけであるが、今年度は、企業支援のネットワークと思われる組織(企業が主なメンバーとなり、保健所や障害者就業・生活支援センターなどが企業の相談に乗ったりしている組織)に対してヒアリング調査を実施した。ヒアリング対象組織は、はちどり(山城)、CoCoネット(京都)、ミツバチ(新潟)、TeamPLUS(倉敷)、行政支援による特別支援学校と企業との連携(岐阜)、民間主導の特別支援学校と企業との連携(広島)で、それぞれ主要なメンバー(企業の経営者および企業を支援している団体)に集まってもらい、ネットワークや就労支援組織との連携に意味を感じているか、それはどのような局面か、現在の課題は何かを軸にヒアリングを実施した。なお、大阪精神障害者就労支援ネットワークや他の地域で展開している同様の取組については翌年度の課題として設定した。
2.アンケートの実施 就労支援組織と連携している企業に協力を依頼し、連携の意義や課題を尋ねるアンケートを引き続き実施した。研究費の制約から、アンケート用紙の配布は断念し、ネットでアンケートに答えてもらう形をとったが、企業団体を通しても反応が極めて鈍かったため、アンケート用紙を持参し個別に依頼を行った。回収したアンケートについては、集計中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.地域ネットワークへのヒアリングは、現時点である程度の期間稼働し、成果や課題を自覚していると思われる主要な団体に対して実施できた。特に、行政が大きく関与している場合と民間主導のパターンについてそれぞれ複数の団体からヒアリングできたことは、当初の想定以上の成果であり、翌年度は、対象障害を絞って取り組んでいる団体や新たに立ち上げられた団体に対して補足的に実施する程度で収まると考えている。ただ、ヒアリング調査という大きな枠においては、当初の予定通りの実施であり、当初の計画以上の進展ではない。
2.障害者雇用にかかわる企業アンケートは、反応が極めて厳しい傾向があることに加え、研究対象のネットワークを形成している中小企業の数が限られていること、地域連携の実績を積んでいる企業は規模の大きな企業である傾向があることから、サンプル数としては少ないものの、対象となる企業の半数程度には協力をしてもらっている。回収できたアンケートは集計中である。
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今後の研究の推進方策 |
ヒアリングの継続とアンケートの分析を行う。 1.2018年度の課題とした、特定の障害を対象としたネットワークや新たに立ち上がったネットワークを対象にヒアリング調査を実施し、企業支援ネットワークの意義と課題を定性(名義)データを基に把握する。
2.新たなヒアリング先とのかかわりで、夏までに協力企業が現れた場合、データを追加するが夏以降は、データの分析に入り、それを基に論文を執筆する。
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