研究課題/領域番号 |
16K04162
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
嵯峨 嘉子 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 准教授 (30340938)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 貧困 / 生活困窮者 / ドイツ / 公的扶助 |
研究実績の概要 |
平成28年度前期は、ドイツにおける生活困窮支援策の動向を確認した。生活困窮者支援策の一分野として、青少年に対する支援、および住居喪失予防の取り組みに着目し、8~9月にドイツにおいて現地調査を実施した。青少年支援について研究者および支援団体、連邦ホームレス支援協議体(ベルリン)およびデュッセルドルフ市における住宅喪失予防部局等でヒアリングを実施した。連邦ホームレス支援協議体では、公的扶助改正法(社会法典2編)に関する評価や連邦全体の住宅市場の現状、難民支援の今後の見通しなどについて確認することができた。デュッセルドルフ市住宅喪失予防部局では、住居喪失予防支援の実際のプロセスや制度的枠組みおよび課題について動向を把握することができた。また、フランクフルト市では、近年ドイツが直面している難民の課題について、難民受け入れ施設の見学および支援の実態について聞き取りを行った。今年度のドイツ調査の成果をもとに、貧困研究会第9回研究大会にて「ドイツにおける住宅喪失予防の取り組み」として報告を行った(2016年12月4日、チェンバおおまち(福島市))。平成28年度後期は、日本における生活困窮者支援策のひとつである生活保護制度が子どもおよび家族に対してどのような役割を果たしてきたのか、その課題について論文としてまとめた。現行の生活保護制度は、資産要件が厳しく、稼働能力を有する者に対しても制限的な運用を行っており、子どもを有する世帯が生活困窮に陥った際に利用しにくい制度になっていることを指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度予定していたドイツにおける現地調査を実施し、ドイツにおける生活困窮者支援策についての最新の動向と課題について把握し、それをもとに、学会報告を行った。また、日本の課題について、今年度は、生活保護制度と子ども・家族の関係に着目し、論文としてまとめた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の研究計画は、日本における生活困窮者支援策の動向を把握するため調査を実施することを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、当初想定していたドイツ調査における通訳料が他の予算によってまかなうことが可能であったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、全国の生活困窮者支援に関連する団体に対してアンケート調査を予定しており、郵送料および分析費用で使用予定である。
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