本研究では、日本およびドイツにおける生活困窮者支援施策について実態調査をふまえ、検討し、政策課題として研究成果を公表した。2019年度は、ドイツにおける最低生活保障制度および貧困施策について、2017年に実施したドイツ現地ヒアリングの内容をふまえて、2010年以降の動向をまとめ、「ドイツにおける最低所得保障制度(社会法典第2編)の動向―給付へのアクセスおよび雇用の質の保障に向けて―」として成果をまとめた(2020年公刊予定)。ドイツでは、公的扶助制度である最低生活保障給付へのアクセスが困難な対象として、特に若者をターゲットとして、アウトリーチ型の支援を行っている。2019年に実施した法改正により長期失業者および長期受給者に対して社会保険加入義務のある雇用を保障する事業を開始している。職場だけではなく、生活場面における課題の解決を図るため、コーチングを導入していることも特徴として挙げることができる。 日本については、貧困世帯の子どもを対象にしたA自治体の学習支援事業についてアンケート調査を実施し、利用者の生活課題および事業の課題について学会発表を行った(中国・中山大学)。また、子どもの貧困の状況については、『子どもの貧困』(共著、2019年、明石書店)で研究成果を公表した。申請者が実施した全国の実施機関および支援者を対象にアンケート調査は、2019年に集計・分析作業を進めており、2020年度に研究成果を公表する予定である。
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