| 研究課題/領域番号 |
16K04171
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| 研究機関 | 熊本学園大学 |
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研究代表者 |
松本 勝明 熊本学園大学, 社会福祉学部, 教授 (80272300)
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| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| キーワード | 医療保険 / 選択 / 競争 / ドイツ |
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| 研究実績の概要 |
本研究の目的は、人口高齢化の進展などに対応して質の高い医療の効率的な提供を確保するため、医療保険における選択や競争の余地を拡大し、当事者に適切な行動を促す誘因を強化することについて、ドイツでの具体的な取組みの考え方、効果や問題点を明らかにし、日本でも実施可能な取組みを提示することにある。
このため、平成28年度は、まず、被保険者間の連帯を基礎にした公的な医療保険制度における選択及び競争の意義とそれらがもたらす可能性のある問題点について理論的な検討・整理を行った。また、現在の日本の医療保険制度において、どのような分野において当事者による選択及び競争が認められているか、それが医療の質や効率性に及ぼす影響についてどのような評価がなされているのかを整理した。
そのうえで、ドイツについての文献調査及び訪問調査を行い、医療保険における選択と競争の拡大に関する政策的、学術的な議論の動向、当事者による選択と競争を拡大する具体的な取組みの考え方、内容、効果及び問題点を把握した。また、ドイツの研究協力者との間で医療保険における選択と競争の拡大に関するこれまでの政策の評価について意見交換を行った。
これらの結果にもとづき、2016年10月に開催された社会政策学会第133回大会において、「医療保険における選択と競争」と題する報告を行い、医療保険制度に関する研究者・専門家との議論を行った。さらに、この成果を著書『社会保険改革 : ドイツの経験と新たな視点』のなかで発表した。このほか、医療保険における薬剤支給に関連した競争について、「ドイツ医療保険における薬剤支給に関する政策」と題する論文を発表した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度においては、文献調査及び訪問調査を通じて、公的な医療保険制度における選択及び競争の意義とそれらがもたらす可能性のある問題点についての理論的な検討・整理、現在の日本の医療保険制度において当事者による選択及び競争が認められている分野についての整理、並びにドイツの医療保険における選択と競争の拡大に関する政策的、学術的な議論の動向、当事者による選択と競争を拡大する具体的な取組み、その考え方、内容、効果及び問題点の把握など、当初の研究計画で予定していた研究を順調に進めることができた。また、内外の研究者・専門家との意見交換や成果の発表も行うことができた。
これらの成果は、平成29年度以降の研究を進めるための重要な基盤となるものである。
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| 今後の研究の推進方策 |
平成29年度においては、平成28年度の調査により得られた情報を整理・分析する。その結果に基づき、ドイツにおける具体的な取組みの日本での実施可能性を検討する上で追加的に必要な情報を洗い出し、対象を絞って不足している情報を補うための文献調査及び訪問調査を実施する。
さらに、ドイツと同様に医療保険制度における当事者の選択と競争を拡大する方向での改革が進められているスイス及びオランダについて調査を実施し、その結果を基に、この二カ国と比較したドイツの特徴を把握する。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、平成28年度に予定していた外国人研究者との意見交換が熊本地震の影響で延期になったことにより、そのために予定していた費用が未使用になったことなどによるものである。
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| 次年度使用額の使用計画 |
平成29年度においては、この意見交換を実施する予定であり、次年度使用額と平成29年度に請求する研究費を使用して、研究計画に沿った研究を着実に進めていくこととしている。
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