今年度は、さらにこれまで収集したデータの分析と、そのための方法論の習得を通じたその準備を進めた。中田雅美(2020)では、集落を単位とし、それらの人口や高齢化率の変動が地域の変化に対してどのような変化をもたらしたかを分析した。これらについては、地域課題、支えあい、誰が地域課題を解決すべきかなどの項目について、まとめた上で、それらをコミュニティソーシャルワークにつなげる方策を検討したという意味では、新しい切り口の分析であったと考える。 また、他にも、福岡において研究会を開催し、さまざまな地域を分析する手法について勉強をした。ここでは、GISを用いたホットスポット/コールドスポット分析や、空間的自己相関分析などを用いて、これまで収集した山形県最上町データに適応し、幾つかの知見を得た。これらは、視覚的に傾向を捉えることができるとともに、ある地域が独立であるという誤った仮定を是正するという意味では、特に地域福祉学の分野においては、交通や地形などの地理的な条件を通じて、集落における態度や活動自体の差異などを分析するのに有用であると感じた。また、質的分析においても、コード化によるひとつの分析手法であるscatについても学んだ。 ただし、3月に、高知県津野町、そして山形県最上町を踏査し、データを収集した上でそれらの変化について分析をし、まとめる予定であったが、コロナ禍のために出張停止の措置が出たために、それらのデータ収集ができなかった。これらについては、今後、実施する予定である。
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