研究課題/領域番号 |
16K04180
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
池谷 秀登 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 教授 (70609627)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 生活保護 / 不正受給 / 生活保護法第78条 / 福祉事務所 / 実施体制 / ケースワーカー / ケース診断会議 / 貧困 |
研究実績の概要 |
本研究は増加しているといわれる生活保護の不正受給の実態を検証することで、生活保護不正受給をめぐる問題点を明らかにし、不正受給の防止策と共に生活保護行政のあり方を検討することである。 厚生労働省により生活保護不正受給の件数、不正受給額等は報告され、一件当たりの不正受給額は減少しているが不正受給件数は増加していると述べられている。しかし、不正受給の原因及びその内容等については詳しい分析は行われていない。そこで本研究は不正受給の原因、内容と共に、福祉事務所が不正と認定したものについて分析・検討を行い生活保護不正受給の実態と問題点を明らかにし、その防止策と共に生活保護行政の課題を解明することを目的としたものである。 平成28年度は調査対象とした東京都内の全福祉事務所の実施体制、被保護世帯の状況とともに福祉事務所別の不正受給件数、不正受給金額等について情報公開制度に基づき入手した。この結果、都内の不正受給の実態の一部について把握することができた。 平成29年度は平成28年度に入手した資料の分析、検討を行った。また、都内福祉事務所設置自治体に対して情報公開制度に基づき、生活保護法第78条の決定(不正受給の認定)にあたってのケース診断会議録、不正受給の被害届、告訴状、自治体独自のマニュアル等の行政文書に入手手続きを進めてきた。ほとんどの自治体から情報公開制度等により上記公文書を入手したが、一部の自治体の公文書公開が遅れている。 平成30年度は公文書公開の遅れている自治体との調整とともに、平成28年度入手文書、平成29年度入手文書の体系的な整理と共に分析、検討を行い、生活保護不正受給の発生率の高低で福祉事務所を区分しその分析、検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度より福祉事務所設置の都内全自治体に対して公文書情報公開制度を活用し、生活保護第78条決定に当たってのケース診断会議録、不正受給の被害届、告訴状、自治体独自のマニュアル等を請求したが、一部の自治体で開示の遅れ等がありその公開手続きに時間を要している。 都内福祉事務所設置の50自治体中47自治体は公開済みであり資料の入手ができたが、平成30年度末段階で公開の暮れている自治体は3自治体となっている。このため全体を網羅した公文書の分析、検討が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
既に入手した公文書を基に福祉事務所別の不正受給認定率を基に、福祉事務所別実施体制、ケースワーカー及び査察指導員の有資格者割合、ケースワーカー及び査察指導員の経験年数割合、不正受給の発見経過及び不正受給の内容、徴収金決定額、行政措置などについての分析、検討を行うことはできている。 今後は公文書非公開自治体に対しての公文書情報公開手続きをすすめるとともに、入手資料を基に福祉事務所の不正受給認定根拠の分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)公文書情報公開制度に基づく行政文書の公開がいまだ行われていない自治体があることから、計画していた分析、検討がやや遅れたために予定していた関係諸費用について次年度使用額が生じた。 (計画)今後公開される公文書公開に関わる諸費用、資料の分析検討に当たり必要になる資料収集費用、研究結果の検証費用などに使用する計画である。
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