前年度までのインタビュー調査の結果と近年の動向から、本人・家族の選考を重視した合意形成に関して、現在の医療現場で有用なのは「プロセスガイドライン」をMSWが理解し、実践できることが求められることが示された。 そのためMSWがどの程度「プロセスガイドライン」を知っているか、実践できているかを調査するために「プロセスガイドライン」を中心に、背景となる哲学、法、関連するソーシャルワーク理論に関する研修(2日間)をおこない、その受講者にアンケート調査をおこなった。受講者を調査対象としたのは「知っていますか」「出来ていますか」に関する認識の誤差を、研修により共通認識を持つことで可能な限り少なくするためである。 48名の受講者に対し有効回答は44であった。60%以上が10年以上の経験を持つMSWだった。プロセスガイドラインを「十分に知っていた」2%、「だいたい知っていた」65%、「あまり知らなかった」33%という結果であった。 背景となる哲学(臨床倫理)と法律に関しては、プロセスガイドラインよりも「知っていた」と回答する割合はそれぞれ10~20%程度少なかったが、講義の内容について「かなり理解できた」と「だいたい理解できた」をあわせるとほとんどが8割を超える結果となった。これは学問基板が異なる内容であっても、実際の現場での経験から知識が具体的に関連付けて理解できたためと推測される。 研修の満足度が高いことをあわせて考えるとMSWに対する「プロセスガイドライン」の研修は、実践との関連が強く、理解度も満足度も高いことが分かった。そのため「プロセスガイドライン」をMSWに浸透していくための研修の必要性が示された。今後よりよい合意形成を可能にするためにも、研修の機会を増やしていくアクションと、今回の研修で作成した研修プログラムの内容を、調査結果を踏まえブラッシュアップしていく必要がある。
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