研究課題/領域番号 |
16K04187
|
研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
筒井 秀代 帝京大学, 医療共通教育研究センター, 講師 (30569330)
|
研究分担者 |
菊地 弘敏 帝京大学, 医学部, 准教授 (80338681)
野村 恭子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40365987)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 国際生活機能分類 / ベーチェット病 / 身体的・心理社会的問題 / 生活の質 |
研究実績の概要 |
国際生活機能分類 (ICF) を用いたベーチェット病(BD) 患者の身体的・心理社会的問題を評価するためのチェックリストを開発することを目的に、30名のベーチェット病患者を対象に予備調査を行い、92項目のチェックリスト (BD-checklist 92) を開発した (平成28年度実施)。開発したチェックリストの妥当性評価を行うために100名の BD患者を対象に本調査を行った。本調査では、予備調査で作成した“BD-checklist 92”を用いて、外来通院中の BD患者100名を対象に半構造化面接調査を行った。面接調査では、“BD-checklist 92”の各項目に対して、BD治療を始めてから問題を経験したことがあるかを回答してもらった。調査終了後、内容的妥当性評価と構成概念妥当性評価、信頼性評価を行った。内容的妥当性評価は“BD-checklist 92”からの問題項目抽出数によって評価を行い、約半数 (43/92) が問題項目として抽出された。構成概念妥当性評価は、眼症状を有する群と疲労感を有する群の重症度得点および罹病期間の長さとBD-checklist 92の抽出問題項目数との相関によって評価した。その結果、眼症状と疲労の重症度得点が高くなるにしたがって問題項目抽出数が増加、また、罹病期間が長くなるにしたがって問題項目抽出数が増加するという正の相関が得られた。信頼性評価はクロンバックのα係数を算出し、チェックリスト全体のα係数は0.804であった。本研究で開発されたチェックリスが有用で信頼できるものであり、BD患者の身体的・心理社会的問題の評価に使用できることが示された。 また、本調査時に QOL評価テストである自記式の SF-36を実施し、その結果を症状、性、罹病期間に分けて検討を行った。眼症状と疲労を有する群、女性、罹病期間が36年以上の群においてQOLが低いことが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ベーチェット病患者の身体的・心理社会的問題を評価するためのチェックリストの開発を目的に本研究を平成28年度より開始した。平成28年度から平成29年度にかけて、チェックリストを開発するための予備調査、開発したチェックリストの妥当性評価、信頼性評価を行った。その後、開発したチェックリストの項目を使ったアンケート調査用紙を作成した。平成29年度中に、このアンケート調査用紙を使って、全国のベーチェット病患者を対象に郵送調査を実施する予定であったが、倫理委員会の許可がおりたのが平成30年3月であったため、平成29年度中に開始することができなくなってしまった。現在、再度、対象患者の確認などを行い、郵送調査に向けて準備中である。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究で開発したベーチェット病患者の身体的・心理社会的問題を評価するためのチェックリストの項目を使ったアンケート調査用紙を作成した。そのアンケート調査用紙を全国のベーチェット病患者に郵送調査を実施予定である。まずは関東圏在住のベーチェット病患者を対象に郵送調査を実施するべく、現在、厚生労働省研究費補助金 難治性疾患政策研究事業 ベーチェット病に関する調査研究班の班員の医師たちに調査協力を依頼しているところである。 また、今年度までに行った研究成果を現在論文にまとめているので、平成30年度中に学術雑誌への投稿を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度中に開始予定であった郵送調査が平成30年度にずれ込んでしまったために、次年度使用額が生じた。平成30年度の郵送調査において、アンケート調査用紙の作成および印刷、アンケート調査用紙郵送のための封書代および郵送費、などに使用する予定である。
|