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2016 年度 実施状況報告書

長期入院精神障害者の退院支援における精神保健福祉士の「かかわり」

研究課題

研究課題/領域番号 16K04189
研究機関東洋大学

研究代表者

國重 智宏  東洋大学, ライフデザイン学部, 助教 (80584383)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード精神保健福祉 / 精神科ソーシャルワーク / 地域移行支援 / かかわり
研究実績の概要

わが国では、1年以上の長期入院精神障害者(以下、長期入院者)が約20万人(入院者の約3分の2)おり、中でも65歳以上の長期入院者が増加傾向にあり、年間1万人超の長期入院者が死亡により退院している。また、精神科病院(以下、病院)の約8割を民間病院が占め、経営の為に入院患者を必要とするわが国特有の状況もあり、社会的入院の問題は未だ解消されていない。
本研究では、長期入院者にとり、退院へのハードルを低くすることの一助となる精神保健福祉士(以下、PSW)と長期入院者の関係が専門職主導の「援助関係」からストレングス視点をもった「かかわり」に至る変容のプロセス、その変容を促進させる要因、そして「かかわり」の変容が退院支援に与える影響について明らかにすることを目的とする。
この研究で「かかわり」とは、PSWとクライエントが「援助する者‐される者」からなる「援助関係」ではなく、援助のための具体的な行為を媒介にしなくても、対人関係におけるごく一般的な日常生活でのつきあいや精神的なつながりを続けていく関係を意味する。
平成28(2016)年度は、長期入院者の退院支援において先進的な実績を有する北海道帯広十勝圏域においてインタビュー調査を実施した。調査対象は、地域移行支援を担当していたPSW及びそのPSWの支援を利用して退院した元長期入院者としている。
PSWに対するインタビューデータは、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(以下、M‐GTA)を用いて分析を行っている。現在までの分析の結果、3つのカテゴリー、1つのサブカテゴリー、17の概念を生成している。継続してデータ分析を行い、理論的飽和化に至った時点で、論文の作成に入る予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度実施予定の「退院支援を利用した元長期入院精神障害者に対するインタビュー調査と分析」に向けて、平成28(2016)年度に2名の元長期入院精神障害者に対してプレインタビュー調査を実施した。プレインタビューの対象者への依頼は、調査協力者である相談支援事業所のPSWを介して実施したが、人と話すこと自体に緊張される方も多く、ディティールの豊富なデータを取ることの難しさも見られた。
プレインタビュー結果から、インタビュー方法、分析方法などの再検討が必要であり、当初の予定より進捗状況に遅れが出てきている。インタビュー方法は、当初予定していた半構造化インタビューから構造化インタビューへ変更し、分析方法もM-GTAから他の分析手法へ変更する方向で検討を進めている。

今後の研究の推進方策

平成29(2017)年度前半に地域移行支援を担当していたPSWに対する調査分析を終了し、学術誌への投稿への準備を行う。8~9月に元長期入院精神障害者に対してインタビュー調査を実施して、平成30(2018)年3月を目途に分析を終了する予定で進めていく。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していた平成29(2017)年3月のインタビュー調査が実施できず、その旅費等に関する予算が未使用となったため。

次年度使用額の使用計画

平成29(2017)年度中に複数回インタビュー調査を実施する予定のため、繰越分については調査旅費として本年度使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 2016

すべて 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 長期入院精神障害者の退院支援における PSWの「かかわり」2016

    • 著者名/発表者名
      國重智宏
    • 学会等名
      日本精神障害者リハビリテーション学会第24回長野大会
    • 発表場所
      JA長野ビル(長野県長野市)
    • 年月日
      2016-12-01 – 2016-12-01
  • [図書] 『精神医学ソーシャルワークの原点から学ぶ』2017

    • 著者名/発表者名
      井上牧子、西澤利朗、松永宏子、藤井達也、木太直人、鈴木詩子、國重智宏、鬼塚香、井上大輔
    • 総ページ数
      印刷中
    • 出版者
      光生館

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公開日: 2018-01-16  

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