研究課題/領域番号 |
16K04189
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
國重 智宏 東洋大学, ライフデザイン学部, 助教 (80584383)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 長期入院精神障害者 / 地域移行支援 / 退院支援 / 精神医学ソーシャルワーカー / かかわり |
研究実績の概要 |
平成29年度は、以下の調査を実施している。 Ⅰ.長期入院精神障害者の地域移行支援における相談支援事業所PSWの「かかわり」のプロセス 平成29年度までに北海道帯広十勝圏域の相談支援事業所に勤務する精神医学ソーシャルワーカー(以下、PSW)を対象に、長期入院精神障害者(以下、長期入院者)の地域移行支援におけるかかわりに関するインタビュー調査を実施した。インタビューデータは、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した。インタビューは、1人につき1~3回、計13回実施した。13回分のインタビュー時間は合計769分、1回のインタビュー時間は平均59分であった。PSWの視点からの分析を行い、3つのカテゴリー、6つのサブカテゴリー、28の概念を生成した。分析の結果、相談支援事業所のPSWは、長期入院者と「人」として時を共に過ごす中で<お互いを知る>ようになる。「人」として彼らから信用されたPSWは、退院支援を進め、<支援者として認めてもらう>。退院後も支援を続けるが、援助関係が終結した後も彼らとつながり続け、<「人と人」としての関係>を築くようになるということが明らかになった。 Ⅱ.長期入院精神障害者から見た退院支援におけるPSWとの「かかわり」 平成29年9月に、平成30年度に実施する本調査に向けて、地域移行支援を利用して退院した元長期入院者を対象にプレ調査を実施した。プレ調査では、3名の元長期入院者に対する半構造化インタビューを行い、ライフストーリー法を参考に分析を行った。分析の結果、長期入院者は、「人」と「人」として退院に向けて共に歩んでくれるPSWを求めている。一方で、退院後も必要に応じて「相談できる」ことが彼等の安心感につながっていた。PSWは、長期入院者と時を「人と人」としての関係を形成し、地域移行支援終了後も、彼らと“つながり続ける”覚悟をしていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年3月に元長期入院精神障害者に対するインタビュー調査を実施の予定であったが、調査協力者の都合によりキャンセルとなったため、平成30年度に調査実施の予定となっている。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度の予定は、以下のとおりである。 Ⅰ.長期入院精神障害者の地域移行支援における相談支援事業所PSWの「かかわり」のプロセス 分析結果は、本年9月の日本精神保健福祉士協会学術集会で口頭発表の予定である。また、論文を執筆し、7月を目途に学術誌に投稿する予定である。 Ⅱ.長期入院精神障害者から見た退院支援におけるPSWとの「かかわり」 プレインタビュー結果を基にインタビューガイドを作成し、6月を目途に元長期入院者に対するインタビュー調査を実施する。夏までに分析を終わらせ、平成30年度中に投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
H30年3月実施予定のインタビュー調査がキャンセルとなったため、その旅費及びデータ起こしの費用がH30年度に繰り越しとなった。
H30年6月の北海道で2度のインタビュー調査を実施するための旅費、謝礼、データ起こし費用、9月に口頭発表を行う日本精神保健福祉士協会全国大会(長崎市)の参加費、旅費に使用する予定である。
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