本研究の目的は、物理的な環境整備と人的支援を連動した居住環境整備の方法論の確立を目指すため、在宅認知症高齢者や家族のため の物理的な環境整備(ハード面)と人の関わりやサービスなど人的支援(ソフト面)に着目したアセスメントシートを開発することで ある。3年間の研究期間を通じて以下の点に取り組んだ。①当該研究分野における国内外のレビューを実施した。その結果、特に英国において自宅で生活する認知症高齢者の居住環境に関する近年の研究蓄積があるため、詳細なレビューを行なった。②国内外の認知症の居住環境整備に関連する既存のアセスメント項目やアセスメントシートについてを収集したが、認知症に特化したものは限られていたため、障害者等も 含め幅広い分野から収集を行い、アセスメント項目の抽出を抽出し、アセスメントシート試案を作成した。③アセスメントシートの主要な項目である「生活状況に関する項目」「住まいと生活様式に関する項目」に対する介護支援専門員の認識を把握するために、関東圏の居宅介護支援事業所に勤務する介護支援専門員1840名に対しアンケート調査を実施した。530件の回答が得られ(回収率28.8%)、「住まいと生活様式に関する項目」については、生活状況に関する項目に比べ介護支援専門員の認識に差が大きいことが示され、地域や居住状況などにより把握するアセスメント項目の優先順位などを設定していく必要性が示唆された。④上記の研究を通じて、認知症高齢者の居住環境整備のためのアセスメントシートを開発した。
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