研究課題/領域番号 |
16K04198
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
渡辺 裕一 武蔵野大学, 人間科学部, 准教授 (70412921)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | エンパワメント / 限界集落 / 地域住民 |
研究実績の概要 |
本研究では、住み慣れた地域での生活継続を促進する要因と阻害する要因及び根拠に基づいた地域生活継続可能性を高める方策としての地域住民のエンパワメントの方法の検討を目的としている。長期(10年)にわたる経年調査により、一つの限界集落を対象とした変化を測定している点が,本研究の大きな特徴であり、平成28年度は8年目(第5回)にあたる調査を実施した。 研究の成果としては、これまでの調査(第1回から第4回)の内容を整理し、第13回東アジア社会政策リサーチネットワークにて「Reduction of participation in a tea meeting and changing sources of information in the marginal community residents」として発表を行った。本研究の目的の一つでもある「地域生活継続に関連する要因として日常生活圏域の「地域の力」を評価することができる客観的評価指標及び調査によって得られた主観的評価指標との10年間の変化の同定」を意識し、調査対象地域の自治体の人口の変化や高齢化率の変化と重ねながら、繰り返し横断調査によって得られたデータの変化を確認した。 特に、平成21年に実施した調査データと平成25年に実施した調査データの比較検討の結果、65歳以上の高齢者において、近所の人同士のお茶会への参加が有意に低下していることが明らかになった。同時に、地域住民が活用している情報源として、住民同士の交流による情報源(地域住民同士の会話、家族同士の会話、回覧板)の活用は有意に低下している一方、公的な情報源(広報誌)の活用は有意に高まっていた。これらの結果から、インフォーマルなかかわりが低下する一方で、フォーマルなかかわりへの依存が高まっている可能性も示唆されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で計画している通り、平成28年度において、調査を実施することができた。本研究の特徴として、長期(10年)にわたる経年調査により、一つの限界集落を対象とした変化を測定している点が挙げられる。計画通り、平成28年度は8年目(第5回)にあたる調査を実施することができたことから、本研究課題の進捗状況について「おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、この調査によって得られたデータの分析とこれまでの調査結果と結合し、経年的な変化を把握したい。また、これまでの成果をIAGG2017および日本社会福祉学会にて、発表する予定である。同時に、研究の成果に関する論文執筆を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
できるだけ早く購入すべきであったが、予算計上したPC(Panasonic Let’s note CF-SZ5ZDVQP)の購入が遅れてしまったため、約30万円の残額が発生してしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
速やかに予定されていたPCを購入し、調査によって得られたデータの分析等を進めたい。
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