研究課題/領域番号 |
16K04200
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
小関 隆志 明治大学, 経営学部, 専任准教授 (20339568)
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研究分担者 |
佐藤 順子 佛教大学, 福祉教育開発センター, 講師 (80329995)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 金融排除 / 金融包摂 / 社会的排除 / 貧困 / 生活困窮者 / ファイナンシャル・ダイアリー |
研究実績の概要 |
本研究は日本における金融排除の実態を把握することを目的として、生活困窮者世帯に対してファイナンシャル・ダイアリー調査を実施するものである。今年度は初年度のため、前半(4月~9月)に調査準備を進め、後半(10月~3月)に本調査を開始した。 前半の調査準備においては、4月~5月に研究分担者・連携研究者と協議し、またファイナンシャル・ダイアリー調査の専門家や生活困窮者の相談事業者などから助言を受け、調査計画を立てた。これと並行して、生活困窮者や社会的弱者を支援するNPOなど(以下、支援団体)に調査への協力を求めた。さらに、7月~8月には社会福祉士の会員組織を通して、調査員を募集し、応募してきた調査員に対して9月に調査員研修会を開催した。 今年度の支援団体として、一般社団法人生活サポート基金および特定非営利活動法人山友会、特定非営利活動法人VAICコミュニティケア研究所を選び、調査対象者を紹介してもらった。10月以降、調査員が隔週で調査対象者の自宅等を訪問し、調査対象者の家計収支を記録するとともに、聞き取りを行った。この訪問は、調査対象者が途中で辞退しない限り、原則として1年間継続するものである。 研究代表者(小関)が東京都内と千葉県内の調査を管轄し、また研究分担者(佐藤)と連携研究者(角崎)が大阪府内の調査を管轄して、支援団体および調査員へのフォローを行った。また、2017年3月には東京で調査員交流会を開催した。 上記3名に連携研究者(野田)を加えた4名が、2017年2月に集まり、1泊2日の合宿形式で研究会を開き、日本における金融排除の状況認識について議論するとともに、中間段階の調査結果の分析を行い、次年度以降の調査計画を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり、年度前半(4月~9月)に調査準備を行い、後半(10月~3月)に1年目の調査を行ったことから、全体のスケジュールとしてはおおむね順調に進展しているといえる。研究者間の連絡体制や情報共有は緊密にできており、また支援団体や調査員との信頼関係も築かれている。 ただし、調査対象者の世帯数については当初の世帯数を下回った。申請時の計画では1年目に30世帯を目標としていたが、交付された研究費が申請額の7割であったことに加え、調査対象者の募集が当初想定したよりも困難であったこと、また途中で辞退する対象者が現れたことから、今年度末時点の対象者世帯数は11世帯にとどまった。 調査対象者の募集が困難だった主な理由は、調査に協力する負担の大きさと、家計情報を提供することに対する心理的抵抗感である。調査対象者への謝金を用意しており、個人情報の保護も徹底しているが、抵抗感を取り除くには必ずしも十分ではなかった。 また、調査対象者の属性としては、高齢男性の単身世帯が比較的多くなる一方、母子世帯や、子どものいる世帯を含めることができず、偏りが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
金融排除問題、特に多重債務問題や母子世帯の就学資金などに造詣の深い北海道大学の鳥山まどか准教授を連携研究者に迎え、鳥山も今後、北海道において本調査に参加することとなった。 ファイナンシャル・ダイアリー調査については次年度、特定非営利活動法人難民支援協会が支援団体として新たに参加し、同協会が支援する在日難民を対象として調査を行う予定である。また、京都府内の母子生活支援施設も支援団体に加える予定である。 他方、ファイナンシャル・ダイアリー調査では調査対象者の負担が大きく、対象者数を大きく増やすことに限界があるため、これとは別にインタビュー調査を実施する予定である。これは、ひとりの調査対象者に対して調査員が1回限りの聞き取りをするというもので、ファイナンシャル・ダイアリー調査に比べて負担は軽くて済む。このインタビュー調査を北海道、東京、京都の3地域で、計100件程度実施する予定である。 調査結果がまとまり次第、学会等で発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請時の計画では1年目に30世帯を目標としていたが、交付された研究費が申請額の7割であったことに加え、調査対象者の募集が当初想定したよりも困難であったこと、また途中で辞退する対象者が現れたことから、今年度末時点の対象者世帯数は11世帯にとどまった。このため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
ファイナンシャル・ダイアリー調査では調査対象者の負担が大きく、対象者数を大きく増やすことに限界があるため、これとは別にインタビュー調査を実施し、次年度使用額を使用する計画である。これは、ひとりの調査対象者に対して調査員が1回限りの聞き取りをするというもので、ファイナンシャル・ダイアリー調査に比べて負担は軽くて済む。このインタビュー調査を北海道、東京、京都の3地域で、計100件程度実施する予定である。
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