研究課題/領域番号 |
16K04200
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
小関 隆志 明治大学, 経営学部, 専任准教授 (20339568)
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研究分担者 |
佐藤 順子 佛教大学, 福祉教育開発センター, 講師 (80329995)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 金融排除 / 金融包摂 / 貧困 / 社会的排除 / 生活困窮者 / ファイナンシャル・ダイアリー / 家計調査 |
研究実績の概要 |
【平成30年度の研究成果】前年度に引き続き東京都内でのファイナンシャル・ダイアリー調査と、愛知県内でのインタビュー調査を行った。両調査の結果を集約し、社会政策学会大会(9月)、貧困研究会定例研究会(11月)、ファイナンシャル・インクルージョン研究会公開勉強会(12月)で学会発表を行った。あわせて、金融排除や多重債務、生活困窮者などの問題に取り組んでいる先駆的な組織である消費者信用生活協同組合やVAICコミュニティケア研究所、生活サポート基金、全国労働金庫協会、気仙沼信用金庫、母子生活支援施設等を訪問し、情報収集や意見交換を進めた。 【補助事業期間全体を通じての研究成果】本研究は、日本における金融排除の実態を把握することを目的とし、母子世帯や多重債務者、元路上生活者、在日難民など多様な生活困窮世帯を対象として、高頻度の継続的な調査を行い、調査対象世帯の不安定な収入と資金管理の実態、金融の利用状況を把握することを目指した。 ファイナンシャル・ダイアリー調査は順調に調査を遂行することができた。また、当初計画になかったインタビュー調査を補足的に行い、東京・千葉・愛知・京都・大阪にて計57件を集めた。 これらの調査を通じて明らかになったことは、非正規就労者や元路上生活者、生活保護受給者、母子世帯、定住外国人などの調査対象者の大多数は銀行口座は保有しているものの、それ以外の金融サービスを利用できない環境に置かれていたり、多重債務で自己破産したためにその後金融サービスから排除されたり、精神障害等の原因で適切な家計管理・資金管理ができなかったり、あるいは日本語理解力の問題を抱えていたりと、金融サービスの利用に多様な障害要因を抱えていることであった。本研究は、日本初となるファイナンシャル・ダイアリー調査で生活困窮世帯の家計を詳細に分析することで、金融排除のミクロな実態を明らかにすることに貢献した。
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備考 |
社会政策学会、貧困研究会、ファイナンシャル・インクルージョン研究会での報告資料を掲載。
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