研究課題/領域番号 |
16K04210
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研究機関 | 聖隷クリストファー大学 |
研究代表者 |
古川 和稔 聖隷クリストファー大学, 社会福祉学部, 教授 (90461730)
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研究分担者 |
津森 伸一 聖隷クリストファー大学, リハビリテーション学部, 教授 (50342051)
藤尾 祐子 順天堂大学, 保健看護学部, 准教授 (60637106)
小平 めぐみ 国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 講師 (00611691)
井上 善行 国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 准教授 (50611696)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 特別養護老人ホーム / 在宅・入所相互利用 / 在宅生活継続支援 / 自立支援介護 / ADL改善 / 老人保健施設 / 決定木分析 |
研究実績の概要 |
当該年度では、施設からの在宅復帰の促進要因と阻害要因を明らかにすることを目的に研究を遂行した。具体的には、以下の通りである。 (1) 特別養護老人ホーム47施設の職員を対象に質問紙調査を実施し、35施設929名(有効回収率36.6%)から回答を得た。ロジスティック回帰分析の結果、教育や職場のシステムは在宅復帰に対して肯定的な影響を与えていた。本研究は、古川、小平、井上、藤尾が共同で行った。この調査は2015年度に実施したものだが、論文としての発表は当該年度(2016年度)の実績である。本研究課題と密接な関係がある研究である。 (2) 特別養護老人ホームを対象にした、要介護高齢者の在宅生活継続を支援する制度である「在宅・入所相互利用」の実態を把握するとともに、その普及に向けた方策を検討することを目的に質問紙調査を実施した。自立支援介護で一定以上の成果を挙げている施設として、オムツ使用率30%未満を達成している特養256施設を対象に、自記式質問紙を用いた無記名の郵送調査を行い73施設から有効回答を得た(有効回収率:28.5%)。在宅・入所相互利用を実施している施設は4施設のみであった。本研究の結果、在宅・入所相互利用を実践している施設は非常に少ないものの、要介護高齢者の在宅生活継続を支援するうえで有効な方策であること、また、普及に向けては6点の課題があることが明らかになった。地域包括ケアシステムの完成に向けて、全国に約9500施設近く存在する特養に、「終の棲家」としての役割だけでなく、「在宅生活継続支援」という役割を位置づけるべきであることを提案する。本研究は、古川、小平、井上、藤尾、津森が共同で行った。 (3) 在宅復帰強化型老人保健施設の協力を得て、過去5年間、541名分の退所者データを、決定木分析の手法を用いて分析している。古川、小平、井上、藤尾、津森が共同で行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特別養護老人ホームにおいて在宅生活を支援する制度である「在宅・入所相互利用」の実態調査の結果、在宅復帰の促進要因と阻害要因が明らかになった。また、老人保健施設の541名分の退所者データ分析からも、在宅復帰の促進要因と阻害要因が明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
現在遂行中の、老人保健施設退所者データ分析を進めるとともに、当初の計画通り、他の施設でも運用可能な在宅復帰・在宅生活継続モデルを開発する。これらの結果を元に、在宅生活支援のためのモニタリングシステムを、ウェブサイト上に開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は、8月にアンケート調査を実施するとともに、並行して、施設退所者データの分析を進めた。これらのデータ分析用に、ノートパソコンおよび統計解析ソフトを購入したこと、さらに、要介護高齢者の自立性回復や在宅復帰に向けた情報収集に積極的に参加したことにより、当初の年度内予算を超えることになった。そのため、平成29年度予算から40万円の前倒し請求を行い、交付を受けた。老健退所者データ分析にアルバイトを使う可能性があったが、研究代表者が全て行ったため、次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度には、在宅生活支援のためのモニタリングシステムを、ウェブサイト上に開発する予定である。このシステムを開発するためには、様々な情報収集や学術的助言を得る必要がある。そこで、次年度使用額はその情報収集および学術的助言を得るための経費に充てる計画である。
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