前年度に続き、高齢者福祉施設における「地域連携への取り組み」に関する先行研究(学術図書・論文、その他関連資料等)を幅広く収集してレビューを行うとともに、2016年の社会福祉法改正により社会福祉法人の責務として位置づけられた「地域における公益的な取組」に着目し、特別養護老人ホームを経営する社会福祉法人が地域での公益的な活動を実施してくための課題と方向性について、法的規定までの経緯や政策的動向、社会福祉法人の役割および機能の観点から多角的に検討を行った。また、学会の年次大会等に参加し、施設を経営する社会福祉法人による地域における公益的な取り組みに関する実践事例や最新動向などの把握および論点整理を行った。これらの研究活動から、特別養護老人ホームを経営する社会福祉法人の地域での公益的な活動に関する文献的検討の成果に関する論文を執筆した。 そして、前年度に実施した施設訪問による地域連携担当者(生活相談員など)を対象とした個別インタビュー調査で得られた知見を踏まえて、近畿圏内(2府県)の特別養護老人ホーム(736施設)の地域連携担当者を対象に自記式調査票を用いた郵送法による「特別養護老人ホームの地域への取り組み(地域貢献活動)に関する実態調査」を実施した。有効回収数は208票(28.3%)であった。得られた量的データについて集計を行った結果、地域貢献活動の実施状況が明らかになるとともに、地域貢献活動への意向や体制づくりに関する認識、地域貢献活動に対する自己評価、地域の関係機関との連携状況などについて現状把握を行うことができた。加えて、本調査の成果を整理した「特別老人ホームの地域連携への取り組みに関する実態調査報告書」を執筆した。
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